「ママレボ通信」では、「ママレボ」の雑誌には掲載されなかった、日々の取材でのこぼれ話やレポートをアップしていく予定です。

ママレボの雑誌は、こちらからご購入できます!
http://momsrevo.jimdo.com/



2014年8月8日金曜日

ママレボ8号(2014年8月発売号)リリースしました!


「ママレボ8号(2014年8月発売号)」を、ぶじリリースすることができましたので、
お知らせいたします。
 今号も、取材・執筆・編集などにご協力いただいたみなさま、この場をお借り致しまして、心より御礼申し上げます。

 また、いつもママレボを応援し続けてくれているみなさまにも、大感謝です。


8号のコンテンツは、以下の通りです。
ぜひ、ひとりでも多くの方に、お読みいただき、放射能汚染地域の実情や、避難者の方々の状況を知っていただけますと幸いです。

おともだちや、たいせつな方にも、どうぞ広めてください。
よろしくお願い致します!

雑誌版は現在、購入予約受付中です。お盆明けの16日より随時発送させていただきます。

※ご購入手続きは、こちらから

※なおデジタル版は、いますぐこちらからお求めいただけます。

*****************************

Interview after 3.11❖映画監督 鎌仲ひとみさん

「子どもを守ろう、と動きだしたお母さんたちの存在は、絶望のなかの希望です」 

特集1
歴史から消される「避難者」
〜全国避難者情報システムをめぐる不作為の連鎖〜

特集2
避難解除は、復興の証か?
避難解除で「被災地」がなくなる日

この人に聞く❖東京大学環境分析化学研究室 助教 小豆川勝見先生
原発事故、体への影響……すべては放射能の正確な測定から

教えて! ママレボ博士 14
「福島の子どもたちの甲状腺がんは、被ばくの影響? 」

子どものために知っておきたい憲法のこと 
「集団的自衛権行使容認閣議決定だけで決めていいの?」

みんなの取り組み地域の活動
まつもと子ども留学基金の挑戦 NPO法人まつもと子ども留学基金
❖理事長 植木 宏さん

あなたの町の市民測定所 番外編 
北海道札幌市ホワイトフード株式会社❖代表取締役社長 森啓太郎さん

ママレボからおすすめの本 

放射能に負けないレシピ 
免疫力が落ちたときにかぼちゃレシピ3種

みんなの声

Come back home❖都築啓子

ネットワーク団体一覧

福島で被災した動物たちの里親募集






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2014年8月7日木曜日

傍聴レポート:「第9回住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」

 9東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の傍聴レポートをお届けします。
<当日の資料はこちら

豪華ラインナップだった第8回の議事録は、内容が盛りだくさんすぎてまだアップできていないのです。(ごめんなさい!)

Our PlanetTVさんがわかりやすくまとめてくださっているので、まだご覧になっていない方はぜひチェックしてくださいね。 こちら→参考人『健康調査や線量評価の抜本見直しを』環境省会議」

■「まとめ」が、白紙に
 さて、85日に行われた第9回専門家会議は、よい意味で、いままでとは様子が異なりました。
まず冒頭で、「こどもたちを放射能から守る関東ネット」の方々が、長瀧座長の解任を求めて、環境省の浮島政務官に要望書を提出。(ママレボ編集部も、賛同団体として名を連ねています)

 また、これまでの会議では、「被ばくはたいしたことがない」「よって健康調査もする必要がない」という一方的な長瀧座長の誘導に反論する委員はほとんどいなかったのですが、この日は委員のなかから、はじめて “ノー” が突きつけられました。
 会議のはじめに、環境省の事務方から、これまで8回にわたって議論されてきた 「被ばく線量の評価」や「健康影響の評価」などに関する 中間とりまとめに向けた線量評価部分の要点(案) ” の文章が説明されたときのこと。

「これでは国民をミスリーディングしてしまう」と、委員たちから疑問の声が上がったのです。

長瀧座長の意向をくんで、内容を簡素にしてしまったために、前回提出されてた“まとめ案”と、今回のものを比べてみると、線量評価の“不確実性”を記した箇所が削られ、断定的な言い方になっています。

たとえば、下線部分。


『旧警戒区域であっても甲状腺被ばく線量が100mSvを超える被ばくを受けた住民がいたとは考えられず、50mSvを超える被ばくを受けた住民も少ないと考えられる』

上記の表記に関して、この日欠席だった春日委員(日本学術会議副会長)からは、

「『考えられず』という表記はいかがなものか。断定はできない。『考えにくく』などの表記にしたほうがよい」 という意見が文書で提出されたほか、本間委員(日本原子力研究開発機構 安全研究センター長)からも、
「『100mSvを超える被ばくを受けた住民がいたとは考えられず』と記している一方で、下段には100mSv以上の被ばくを受けた者がいる可能性を否定するものではない』と書かれており、科学的にあり得ない文章だ。不確実性の多いなかで、100mSvの被ばくを受けた集団がいないとは言い切れない。少なくとも私は自信がない」と、厳しい意見が出されました。

 これに対して長瀧座長は、「では本間先生に、ご意見を書いていただいて、次回はそれをみなさんに読んでいただきましょうか……」と、お茶をにごそうとしましたが、本間委員はさらに、「記述の内容についでだけ言っているわけではない。この専門家会議の目的から考えて、どのようなまとめが必要なのか、そこから議論する必要があるのではないか」と、まさにちゃぶ台をひっくり返す勢いで疑問を呈したのです。

 また、石川委員(日本医師会常任理事)も、「この専門家会議は、あと2回しかないと聞いている。健康管理や、医療の施策のあり方などを早く議論しないと、私たちの任務が果たせない。いまも悩んでいる親御さんがたくさんいるのだから、そちらの議論をしたほうがいい」と、もっともな意見を展開。環境省の事務方があわてて、「あと2回とは決まっていない。必要に応じてやっていく」と、長瀧座長と目配せしながら弁明する一幕がありました。

さらに本間委員は、「線量把握や健康リスクの把握もたいせつだが、それらが厳密になされないと、健康管理のあり方が議論できないわけではないはずだ」と、述べ、長瀧座長の進め方を批判しました。 長瀧座長も、しぶしぶこの意見に賛成。線量評価や健康リスクの「まとめ」は、事務方と相談しつつ進めることとし、今後の専門家会議では、健康管理のあり方について議論を進めていくことを、やっと了承したのです。

■すでに手術した51人は、過剰診療ではなかった!?

  続いてこの日は、甲状腺疾患の第一人者のひとりでもある宮内昭氏(隈病院・院長)と、国立がん研究センターの津金昌一氏が、参考人として招かれ、意見を述べました。

  とくに興味深かったのは宮内氏。
 宮内氏は、「小児のデータはないが……」と断ったうえで、隈病院で蓄積している成人女性のデータを示しながら、次のような点について指摘。

・米国でも日本でも、甲状腺がんが急増しているが、死亡率は一定である。
・香川県のがんセンターで乳がん検診をした成人女性を対象に甲状腺エコー検査をしたところ、3.5%にがんが見つかった。
・しかし、1センチ以下の微小がんで、かつリンパ節転移や
遠隔転移のないものは、がん細胞が成長せず、健康に害をおよぼさないものが多い。

・よって隈病院では、21年前から「リンパ節転移」や「遠隔転移」などのない1センチ以下の微小がんの患者には、手術をしないで経過観察をすすめている。

・経過観察の頻度としては、最初は半年後。3ミリ以上大きくなっていなければ一年後に診るという具合。
 ・ただし、あくまでもこれらは成人のデータであって小児のものではないので、小児についても同じことが当てはまるかどうかはわからない。

 こうした一連の説明に対して長瀧座長は、「スクリーニング検査をすれば、(甲状腺がんは)見つかる。これを続けていたら、最終的には、福島県の10人にひとりは甲状腺を摘出しているといったことになるかもしれないが、それでも検査をすれば安心なのだから、すればいいんじゃないかという意見がある。それについてはどう思うか?」と、宮内氏に質問。

 あきらかに、検査を要望している石川委員に対する当てつけととれる内容ですが、宮内氏は、「それは極端な数字だ」と、長瀧氏の質問を一蹴しました。

 また、宮内氏は、福島県県民健康調査の甲状腺部会の委員なども務めていることから、その実情にも言及。

「鈴木先生の説明によると、福島県で甲状腺がんの手術を受けた51人の子どものうち、少なくとも7割以上は大きさが1センチ以上とか、リンパ節転移や遠隔転移があるなどの症例も含まれていたということだ。残りの1割程度は1センチ以下だが、鈴木先生の説明では、反回神経に近かったりと、我々もハイリスクとしているような患者に対して手術を行っている」 と述べ、過剰診療ではなく、適切な判断で手術が行われているとの見解を示しました。  つまり、すでに手術している51人に関しては、スクリーニング効果とは言い切れない可能性があるということではないでしょうか。 
 また、宮内氏によると、ハイリスクでない患者の場合は、小児においても経過観察が有効であろうということです。 
しかし一方で、経過観察をするには、患者と十分に話し合いをする必要があるとのこと。医師が患者との信頼関係を十分に築き、患者が“経過観察”という選択肢も選びやすいようすべきなのでしょうが、県立医大に対する不審は増大する一方。改善が急がれます。

 今回のレポートはここまでです。 なぜ、いままで反論しなかった本間委員が、あれほど長瀧氏にかみついたのか――。真意はわかりません。しかし、しろうと目に見ても、“非科学的”な議論を推し進める長瀧座長に危機感を覚えたのかもしれません。いずれにしても、この第9回の会議から、大きく流れが変わっていくことはまちがいないと思います。次回からの、健康管理のあり方についての議論に注目しましょう。

 詳しくは、Our PlanetTV さんの動画をご覧ください。

ホットスポットの母親「座長解任」直訴〜環境省専門家会議




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2014年8月1日金曜日

「被ばくを自己責任にしてはいけない」と、弁護士も批判。除染目標の数値引き上げへ。

以前、ママレボのブログでもお伝えしましたが、環境省と福島県の4市(伊達市・福島市・相馬市・郡山市)などが、除染目標の数値引き上げについて検討していた件、本日、正式に決定されてしまったようです。

環境省:除染目安の空間線量を緩和(毎日新聞)

 ◇毎時0.3〜0.6マイクロシーベルトに
http://mainichi.jp/select/news/20140731k0000e040245000c.html


本日、16時45分から、井上環境副大臣が参加し、除染目標緩和についての会議が「福島ビューホテル」で開かれたのだとか。しかも、完全クローズドだそうです。

6月に、除染数値引き上げの会議に参加した際、その様子をまとめていますので、原稿を下記にアップしておきます。これが現実になってしまいました…
いやあ、あまりにも伊達市の主張を丸呑みしている環境省に驚きました…。


・・・・・・・・・・・・・


被曝も自己責任?

「除染基準」の引き上げをめぐって、伊達市が暴走



 除染の目安となっている数値が、引き上げられようとしている。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故後、環境省は、「年間追加被曝線量1ミリシーベルト」を超える地域を特定するために、空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超える地域を「汚染状況重点調査点地域」と定めた。そのため各自治体は、空間線量をできるだけ毎時0.23マイクロシーベルト以下にするよう除染を進めてきたという経緯がある。

 しかし、ここにきて環境省は、毎時0.23マイクロシーベルトという数値の見直しを行おうとしているのだ。 

0.23μSv/hは除染基準じゃない

 数値の引き上げを強く求めているのが、福島県伊達市だ。
 環境省はこれまで何度か、伊達市・福島市・郡山市・相馬市の4市と除染についての勉強会を開いてきたが、伊達市はこの勉強会のなかで、毎時0.23マイクロシーベルトの見直しを主張し続けてきたという。
 これを受けて環境省は6月15日、福島市内で「除染に関する有識者との意見交換会」を開催。

先の4つの市長や、除染の専門家、井上環境副大臣も参加し、意見交換を行った。
 会議の冒頭で環境省の職員は、「0.23μSv/hは除染による低減目標値ではない」として、これまで0.23μSv/hを低減の目安としてきた自治体や、一般市民の考え方を否定。説明が十分ではなかった、と詫びた。そのうえで、「放射性物質汚染対処特措法」に定められている低減目標(23年8月から2年間で、一般公衆の追加被曝量50%低減、子どもの年間追加被曝量60%低減させる)は、おおむねクリアできているとして、0.23μSv/hにとらわれる必要のないことを示した。

■除染して残るのは仮置き場くらい

 この日の意見交換会でも、伊達市の発言は際立っていた。
 伊達市は、これまで市民約5万2千人の個人線量計の調査から、「空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超える地域でも、個人の積算線量は年間1ミリシーベルトを超えない場合が多い。0.5マイクロシーベルトくらいでも問題ない」として、0.23マイクロシーベルトという数字が独り歩きしていることを批判。「0.23マイクロシーベルトを下回らないと、住民から何度も除染を求められる。意味がない除染だ」と切り捨てた。

 伊達市の放射線リスクアドバイザーの多田順一郎氏も、「除染には巨額の国費が注ぎ込まれている。田中角栄氏も日本列島改造論で巨額の国費を使ったが、あのときは橋や道路が残った。安心は別として、除染で残るものは仮置き場くらいだ。福島県民は、毎時0.23マイクロシーベルト以下にならないと帰らない、などと言ってはいけない」と述べ、避難生活を続けている市民を暗に批判した。また、伊達市長の仁志田市も、「現実に即さない数値を決めるから余計に市民が不安になる」として、個人線量計に着目すべきだと迫った。

 伊達市の意見が突出する一方で、他の3市の意見は異なった。

「できるか否かではなく、事故前の放射線量に戻す努力を続けなければならない」(郡山市・品川市長)
「我々は、毎時0.23マイクロシーベルト以下を目標に除染を加速させてきたし、今後も続けるつもりだ」(福島市・品川市長)
「毎時0.23マイクロシーベルトが本意でないなら、国が明確な指針を示すべき」(相馬市・立谷市長)

 意見交換会の最後に井上環境副大臣は、「年間追加被曝線量1ミリシーベルトを変えるつもりはないが、個人の線量に即して除染方法を考える必要がある」として、事実上、伊達市の主張を追認。

 しかし、個人線量計が示す値は、実際に人が受けた実効線量の約7割しか反映されないという専門家の意見もあり、被曝の過小評価につながるおそれがある。
 原発事故被害者の訴訟を手がけている弁護士の山川氏も、計測した結果、『超えてしまっていた』ではおそい。放射線防護の立場で考えるなら、空間線量率を用いて『この数値なら絶対に1ミリを超えない』という安全サイドにたって考えるべきだ。被曝を自己責任にしてはいけない」と批判している。
 環境省は、今月中にも意見を取りまとめ、新たな除染の指針を示す見通し。このままだと、被曝も自己責任になりかねない。


6月の除染に関する意見交換会で発言する井上環境副大臣


ママレボ編集部 和田秀子

一日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果が0.4倍ある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを仮定して、一時間あたり0.23マイクロシーベルトを算出している。


Our Planet TVさんが、8月1日に開かれた除染目標数値引き上げについての記者会見の様子をアップしてくださっています。ぜひご覧ください。

除染基準緩和〜空間線量から個人被ばく線量へ

投稿者: ourplanet 投稿日時: 金, 08/01/2014 - 02:29
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1814



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2014年7月18日金曜日

鎌仲ひとみ監督インタビュー 「子どもを守ろう、と動きだしたお母さんたちの存在は、絶望のなかの希望です」

間もなく完成予定の「小さき声のカノン」

8月発行予定の雑誌「ママレボ8号」から、ただいま
次作の「小さき声のカノン―選択する人々」を制作中の鎌仲ひとみ監督のインタビューを、先行してママレボブログで公開します! 
現在、鎌仲監督は、「モーションギャラリー」にて次作の制作費用のカンパを呼びかけていらっしゃいます。

インタビューをじっくり読んでいただいたあとは、ぜひカンパのご協力もよろしくお願いいたします!(カンパの詳細は末頁)


*******************

原発事故前から、「ミツバチの羽音と地球の回転」など、被ばくや核の問題をテーマにドキュメンタリー映画を撮りつづけてきた鎌仲ひとみ監督。
原発事故前と現在で、どのように思いが変わったのか――。
まもなく完成予定の次作、「小さき声のカノン―選択する人々」の見どころと合わせて語っていただきました。

(『ママレボ』編集チーム・和田秀子)


■内部被ばくに苦しむイラクの子どもたち

 私自身が、被ばくや「核」について問題意識をもちはじめたのは、1988年にイラクを訪れてからのこと。
 当時私は、フリーランスとしてNHKのドキュメンタリー番組などを制作していたのですが、大手マスコミはイラクに関して、アメリカ側からの片寄った情報しか流していませんでした。

 ですから、みずからイラクへ行って、イラクの普通の人たちがどう考えているかを知りたかったのです。ちょうど、イラクの子どもたちに奇妙な病気がふえていて、薬が足りないということも耳にしていましたので、それも確かめたいと思っていました。

 初めてイラクを訪れたときは、すでに湾岸戦争から7年が過ぎていましたが、アメリカが撃った劣化ウラン弾が、戦場となった砂漠に落ちていて、日本から持って行った放射線測定器で劣化ウラン弾の近くを測ったら、3・8マイクロシーベルト毎時ありました。今から考えると、なんだか奇妙な符号みたいですよね。

 日本で原発事故が起きたあと、文部科学省は、福島県内の学校に対して、「校舎や校庭の空間線量が3・8マイクロシーベルト毎時以下なら使用してよい」という許可を出したのですから。 
 つまり福島の子どもたちは、劣化ウラン弾の上で学校生活を送らされていたようなものです。

 劣化ウラン弾がはじけると、その微粒子一つひとつがα線を出します。この微粒子は放射線は弱いけど、体内に少しでも取り込むと、いわゆる内部被ばくすることになり、がんをはじめ、さまざまな疾患をもたらすことは、当時すでにドイツのギュンター博士などが警告していました。

イラクを取材したことがキッカケでできた「ヒバクシャ」

 イラクの子どもたちは、湾岸戦争でアメリカによって撃ち込まれた劣化ウラン弾の粉じんを吸い込んで、内部被ばくしていました。そのせいで、白血病や骨がん、腎臓系の疾患などにかかる子どもがふえていて、経済制裁もあり、薬が足りなくなっていたのです。

 私自身もイラク滞在中、バグダッドで劣化ウラン弾の爆撃にあいました。そのとき、おそらく粉じんを吸い込んだのでしょうね。帰国後、かなり体調が悪化したのを覚えています。

 じつは私、イラクに行くまでは、広島・長崎のこともチェルノブイリ原発事故のことも、それほど関心がなかったんですよ。どこか他人ごとのように思っていました。
 でも、イラクの子どもたちの状況をまのあたりにし、また自分自身も内部被ばくしたことによって、被ばくや核のおそろしさを身をもって知りました。
 ちょうどみなさんが、3・11を機に「放射能は危ない」「原発はいらない」と気づいたように、私はイラクでそれに気づいたのです。それで、“核三部作”を作ろうと思いました。

 核兵器を使わなければそれでいい、という問題ではなくて、原発を動かしているかぎり核のゴミが出て、それが兵器に使われてしまいます。しかも、使用済みの核燃料を六ヶ所村で再処理すると、プルトニウムができてしまうのです。同時にたとえ原発事故が起きなくても、核兵器が使われなかったとしても、再処理するだけで膨大な放射能汚染が引き起こされてしまう。
 こうした現状を、なんとか多くの方に知っていただきたくて、作品を撮りつづけていました。


■3・11であらめて思い知った、原子力ムラの無責任さ

 そうこうしているうちに、日本で原発事故が起こってしまうわけですが、少しでも原発のことを学んだ人なら、「電源喪失=とり返しのつかない事態になる」ということはわかっています。 
ですから、津波の映像を見た瞬間、原発はたいへんなことになると思いました。

 でも、さすがに政府の対応が、ここまでひどいとは思わなかった。
 ニュースでは報道されていないだけで、少なくとも福島県内ではヨウ素剤が配られていると思っていましたし、SPEEDI(スピーディ・緊急時放射能影響予測ネットワークシステム)だって活用されているはずだと思っていました。

 チェルノブイリ原発事故のときは、当時のソビエト連邦政府ですら、事故から3日目には30キロ圏内の住民をすべて避難させていましたからね。

「六ヶ所村ラプソディー」などを撮影するなかで、日本の原子力ムラの人たちが、いかに住民を守るつもりがないかは気づいていましたが、さすがにここまでひどいとは……。

 一方で、隠ぺいすることだけは素早かった。事故直後、福島県に入って、子どもの甲状腺被ばくを測ろうとしていた学者もいましたが、そういう動きは、いち早く妨害しました。国民は守らないのに、事実を隠ぺいすることについては、これほど迅速に動くんだなと、ほんとうに驚きましたね。
 さらにショックだったのは、多くの人々が、心のなかでは政府や専門家の発表に疑問をもっているのに、「だいじょうぶなはずだ」と受け入れてしまったことです。
 厳しい事実を受け入れるということは、それほど困難なことなんですね。私は3・11前から、映画を通して核の脅威を伝えていましたが、100年かかったって、現状を動かすのはむりだったんじゃないかと、がくぜんとしました。


■お母さんたちの勇気ある行動や、声なき声を伝えたい

 そんな絶望のなかでも、希望はありました。
 それは、「子どもを守りたい」と動きだしたお母さんたちの存在です。

 政府が、「原発から出た放射能は安全だ」とアナウンスしましたから、それに抗うと、みんなに非難されたり、白い目で見られたりして、貧乏くじを引くことになりますよね。避難するにしたってたいへんですから、3・11以前のまま、政府のいうことを信じて、何ごともなかったかのように生きて行く人が大多数でした。

 そんななか、「これでは子どもを守れない」と行動を起こしはじめたのが、お母さんたちでした。
今まで、政府のやり方に対して疑問を感じたり、声をあげたりしたことがなかったお母さんたちが、避難したり保養に出かけたり、食品を測定したり、政治を変えようと立候補したり。

「小さき声のカノン」撮影風景
私はそんなお母さんたちの小さいけど勇気ある行動や、「声なき声」を拾いたくて、次作の「小さき声のカノン―選択する人々」(以下、カノン)を撮りはじめたのです。

 カノンでは、そんな彼女たちの様子を、福島だけでなく、東北、首都圏、そして避難先まで追いかけてとらえています。


 でも一方で、彼女たちは、いろんな勢力に足を引っ張られています。いったい何が、純粋に子どもを守りたいとがんばっている母親たちを阻んでいるのか――。
この映画をご覧いただければ、それも明らかになります。

 
 またカノンのなかでは、27年前に原発事故を経験したベラルーシのお母さんたちも登場します。
 彼女たちは、国もちがうし民族もちがうけれど、時間差で私たちと同じ「放射能汚染されてしまった世界」を生きてきた人たちです。

ベラルーシのおかあさんたちを取材
(c)森住卓
27年間、ベラルーシのお母さんたちが、どのように子どもたちを守り、どう生き抜いてきたのか。その生きざまは、3・11後の世界を生きる私たちにとって、大きなヒントになるはずです。
 そのほかにも、カノンを観ていただくと、日本政府がベラルーシと比べて、いかに子どもたちを守っていないかがわかります。

 まず、前提がちがうのです。ベラルーシ政府は、放射能のリスクは「ある」ことが前提。そのうえで、できるだけ被ばくを軽減するために、移住や保養、検診などさまざまな対策を立てています。
日本では、移住や保養はもちろんのこと、検診についても、まだ十分な仕組み作りができていません。それどころか、年間被ばく量20ミリシーベルト以下の地域には、住民を戻そうとしています。

ベラルーシの場合は、年間被ばく量5ミリシーベルト以上の地域は強制移住です。もし、こうした政策が必要ないなら、とっくに政策は廃止されているはずですが、原発事故から27年たった現在でも続けられているのです。
 現在のベラルーシの姿に、27年後の福島の未来を重ねながら、今何が必要なのかを考えていただけたらと思っています。

 最後に、こんなエピソードをひとつ。 
チェルノブイリ原発から約25キロのところに住んでいて、事故後、強制移住させられた女性のことばです。

「原発事故のあと、家も年金ももらって、暮らしはラクになった。でも、事故前は家族みんなが健康だった。もう一度、健康なころに戻れるなら、何を差し出してもいい」

 自分にとってほんとうにたいせつなことは何か、幸せとは何か、ということを、もう一度思い出すきっかけにしていただけるような映画に仕上げたいと思っています。
 応援よろしくお願いします!




「映画の制作資金を募っています!わずかずつでも、たくさんの方がカンパしてくだされば、
きっとこの映画が多くの方に届くと思います!よろしくお願いいたします!」by鎌仲監督
 
Profile
かまなか・ひとみ
映像作家。早稲田大学卒業と同時にドキュメンタリー映画制作の現場へ“核をめぐる三部作”と呼ばれる「ヒバクシャ ―世界の終わりに」「六ヶ所村ラプソディー」「ミツバチの羽音と地球の回転」などの核三部作は、国内外で高い評価を受けている。


モーションギャラリーにてカンパ受付中!>鎌仲ひとみ監督最新作「小さき声のカノン-選択する人々」製作費用と、全国での上映実現 のためにご協力ください!(クリックして詳細をご覧ください)





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2014年7月11日金曜日

「福島県民健康調査と体調に関するアンケート」ご協力のお願い


 このたび、一般社団法人子どもたちの健康と未来を守るプロジェクトと、私たちママレボ編集部は共同で、「福島県民健康調査と体調に関するアンケート」を実施させていただくことになりました。
 大変、お手数ではございますが、下記にあてはまる方で、ご協力いただけそうな方は、ぜひアンケートにご回答いただけますと幸いです。

 いただいた回答は、分析のうえ、ママレボの紙面やブログ等にて発表させていただくほか、県への改善要望として提出させていただくことがあるかもしれません。なお、個人情報は厳重に管理し、個人が特定できるような形での公表はいたしませんので、ご安心ください。



<アンケートにご協力いただきたい方>

・福島県に在住しており、県民健康調査の対象となっている18歳以下のお子さんをお持ちの方

・現在は避難しているが、原発事故当時、福島県に在住しており、県民健康調査の対象となっている18歳以下のお子さんをお持ちの方


アンケートは下記よりダウンロードしていただけます。

https://drive.google.com/file/d/0B6rm7ImoDKARci14ZFpMOGxEMDg/edit?usp=sharing


※なお、アンケート用紙と返信用封筒もご用意しておりますので、必要な方は下記メールアドレスまでご一報くださいませ。用紙と返信用封筒を送らせていただきます。


アンケートにご回答いただきましたら、2014830日までに下記いずれかにお送りくださいませ。

 mail: info.momsrevo@gmail.com /  FAX:  042-306-3665



 どうぞよろしくお願い申し上げます。


 なお、第二弾として北関東・首都圏にお住まいでお子さんをお持ちの方にもアンケートを実施させていただく予定です。


ママレボ@和田





2014年7月1日火曜日

傍聴レポート:「第6回住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」

 原発事故に伴う住民の健康管理のあり方を問う、環境省の専門家会議が626日に開催されました。その様子を傍聴しましたので、レポートをお届けします。

(当日の資料は、こちらです)

6回目となるこの日の会議は、まずこれまで議論してきた「住民の被ばく線量把握・評価」のまとめについて骨子案が配布され、長瀧座長から、骨子の内容について異論がないかどうか確認がありました。
 骨子案の内容を、ものすごくざっくり要約すると、次のような内容になります。

「この専門家会議としては、平成233月下旬に飯舘村・川俣・いわきで子ども1080人に実施されたサーべーメーターによる甲状腺スクリーニングの実測値や、福島県民健康調査の基本調査による外部被ばく線量推計、およびホールボディカウンターによる内部被ばくの実測値等を主な判断材料とし、その他のシミュレーション値は、あくまでも捕捉として考えて、初期の内部・外部被ばくを評価した結果、個人個人のばらつきはあるものの、福島県内外ともに、たしたことはない」

この結論を導き出すために、延々と5回にわたって議論を続けていたかと思うと、残念でなりません。当然、いまさら大きな異論が出ることもなく、この検討委員会のひとつの結論として示されることになりそうです。


■検診は不要? 石川委員の提案を一蹴

 続いてこの日は、石川広己委員(日本医師会理事長)から、「日本医師会が考える重要施策」と題した、具体的な健康支援に対する提案がなされました。



 これは、第一回の専門家会議でも提案されていたのですが、まずは線量評価を……ということで、ずっと保留にされていたのです。

(第一回傍聴レポートはこちら http://momsrevo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

「日本医師会が考える重要施策」の柱を、ざっくり説明すると以下の通りです。

☆福島県内のみでなく、千葉や茨城などのホットスポットにおいても検診を行う。
☆学齢期だけではなく、成人も検診の対象とし、その項目についても「被ばく者援護法」に規定されている、広島・長崎の原爆被爆者の検診内容を参考にして決める。
☆万が一疾病にかかった場合には、国が責任を持って医療補償を行う。
☆差別などが起きないように、子どもたちに対して正しい放射線と健康影響の教育を行う。

 石川議員は、この提案を行うに先立ち、平成24630日に成立した子ども被災者・支援法に言及し、「支援法で定められた文言の中には、私たち医師会が提案している内容と共通する点が多い」と強調。とくに、現在検診が行われていない千葉や茨城などのホットスポットエリアで検診の要望が多いことにふれ、「千葉県の9市からは、検診などを求める要望書が上がっている。国の支援がないとできない」と、強く訴えました。



しかしこれに対して、委員の中からは次のような趣旨の反論が上がりました。


「住民の健康不安に対して、検診をするということがベストアンサーなのか、議論が必要だ。お母さん方と話していると、いまだに水道水が飲めないという。ほんとうの意味でのリスクリテラシーが必要。医療という形で答えを出すのは落とし穴があると思う」
鈴木 元委員(国際医療福祉大学)


「私は福島に暮らしており、個人線量計をつけて測定してみたところ、ガンマ線から受ける年間追加被ばく線量は1ミリシーベルトくらいだということがわかった。東京ではどうかというと0.6ミリシーベルトくらい。広島などに行くと、あそこは花崗岩だから0.9ミリシーベルトくらい。実際に測定してみると、福島県の追加被ばく線量はそれほどでもないということがわかる。だから、まず自分自身で個人線量を知ることが大事」
丹羽 太貫委員(福島県立医科大学理事長付特命教授)

これに対して石川委員は、
「個人線量を測るということも大事だが、全住民に個人積算線量計を持たせるのは無理がある。ほんとうに専門家の立場で絶対にだいじょうぶだと言えるのか。また専門家がだいじょうぶだと言えば、みなさん安心するのか?そうではないはずだ。住民が安心しないかぎり、検診や補償体制を整えて見守っていくしかないのではないか」といった趣旨の反論をしました。

 さらに丹羽委員は、
「たしかに、『このくらいの線量ならばだいじょうぶ』と、専門家のモノサシで物を言ってしまったから、我々は信頼をなくしてしまった」と、少し理解を示したものの、「今の状況では、風邪をひいても放射能のせいではないかと思うだろう。ましてや小児ガンにかかったりしたらなおさらだ。それが親心というものだ。だからこそ、個人線量計で測ってもらい、自分たちの周辺状況を把握することで、理解してもらうのが重要」として、検診の必要性をやんわりと否定。結局は、自分のモノサシを押しつけていました。

 そしていつも通り長瀧座長が、「住民の気持ちや行政の問題などいろいろあるだろうが、この会議では、専門家として、どう科学的に考えるかということを話し合いたい。住民が心配しているから検査をすると言うが、検査にはメリットもデメリットもある」と述べて、この日、『がん検診の利益と不利益』について発表する予定の祖父江友孝委員(大阪大学大学院医学系研究科 環境医学 教授)にバトンタッチしました。


■ 検診のメリット・デメリット

 祖父江委員は、アメリカでの前立腺がん検査(PSA検査)や、韓国での甲状腺エコー検査などの事例を挙げつつ、検診をすることでのメリット・デメリットを説明しました。

検診のメリットとしては、
☆がんの死亡率や罹患率を減らせる。

デメリットとしては、
☆擬陽性・擬陰性などのように間違って判断されてしまった場合に不利益が生じる
☆検査にともなう合併症が起きる可能性がある
☆高齢者の場合、がん検診をしてがんが見つかった場合でも、治療をしなくても寿命に影響を及ぼさない場合もあるのに、過剰診療をする可能性がある
等が挙げられました。

そのうえで祖父江委員は、「ゆっくり進行するがんに関しては、過剰診断の不利益が大きい。放射線被ばくによる健康管理のために検診をするのであれば、品目を多くすればいいということではなくて、利益・不利益のバランスを考慮して、検査項目や頻度を考えることが大事」と結論付けました。

 これに対して、春日文子委員(日本学術会議 副会長)からは、「過剰診療などの不利益があるということはよくわかったが、がんの種類によっても、ちがうのではないか」と質問が出ました。

 祖父江委員は、「前立腺がんは高齢者に多いので寿命の問題と近接している。甲状腺がんはそこがちょっと違うので、前立腺がんのケースをそのまま適用するわけにはいかない」といった趣旨の発言をし、がんの種類によって検診のメリット・デメリットを一概には語れないことも認めました。

 もちろん、検診によるデメリットがあることは否めませんが、そもそも今回の検診は、チェルノブイリ原発事故のあと、子どもに甲状腺がんが多発したことを受けて実施しているのですから、一般的な検診と比較すること自体がナンセンスだという気がします。
 それに、がん検診についてばかり議論されて、血液検査などの是非については、まったく触れられませんでした。

 祖父江委員からの発表を受け、長瀧座長は以下のようにコメントしました。

「検診に対して、プラスもあるがマイナスもあるということを共有することが必要。私は医者になって50数年たつ。最初のころは早くがんを見つけることが100%良いことだと考えられていたが、世の中が進化してきて早く診断できるようになると、がんの種類やそのほかのことを考えると、すべて早く検診したほうがよいとはかぎらないということがわかった。考慮したうえで行動しなくてはいけない」

 そして、鈴木元委員が次のように捕捉。

「放射線とは関係ないであろう心理的な要因に関して実態を把握し、対策をとっていくべき。むしろそっちのほうが大きい問題」

さらに、長瀧座長は、UNSCEARですら、現実の(被ばく)影響はなかったが避難させたために何十人も亡くなったとレポートで述べている。たんに放射線が怖いから検査をやりましょうというのと、放射線のリスクはないんだけども心配があるからやりましょうというのでは科学的な議論がちがう。もう一度、このUNSCEARの報告を委員会の共通認識としていいのかどうか、議論があればしていただきたい」
 と述べるなど、検診の必要性を遠回しに、しかしハッキリと否定しました。

 つまり端的に言うと、「検診はデメリットのほうが大きい。放射線のリスクは少ないのだから、むやみに怖がらないよう住民に説明することが大事」ということなんでしょう。
 福島県では、子どもの甲状腺がんが疑いも含めて90人も出ているのに、心配するなというほうが無理なのです。


 ■子ども・被災者支援法が成立したときとは状況がちがう?

 こうした発言に対して石川委員は、子ども被災者支援法の条文を読み上げ、「支援法には、放射線量が一定の基準以上である地域で生活する被災者を支援するため、医療の確保に関する施策等を行わなければならない、と明記されている。よって、千葉の松戸市などホットスポットと呼ばれるエリアの検診についても、この会議で議論してほしい」という趣旨の発言をしました。

 しかし、これに対する長瀧委員の答えは、驚くべきものでした。

なんと、「この法律ができたときと今とでは、線量の評価がまったく異なる。以前は、線量の評価がなかったが、今は線量の評価がどんどん出てきた。リスクに対しても科学的にモノが言えるようになったという点は大きなちがい。今の段階で、科学的な知識にもとづいて、日本の専門家としてどう対応するかということは、我々の大きな責任だと思う」
と答えたのです。

 つまり、簡潔に言うと、「法律なんて関係ない」ということ。

そもそも、第一回の傍聴レポートでも書きましたが、この専門家会議は、子ども被災者支援法の基本方針に基づいて開かれたもので、福島県をはじめ、近隣県の子どもや妊婦に対する放射線の健康影響を専門家らが協議し、今後の健康管理のあり方や、医療に関する施策を検討するために開かれているものです。それなのに、なぜ座長の権限だけで、これほどまでに法律を無視できるんでしょうか?

 さらに、いつも長瀧座長に追随する発言を繰り返している鈴木委員も、「東海村のJCO事故のあと、今でも周辺村民の検診をやっているものだから、被ばく量は少なかったのに、村民たちの多くは放射線によってがんがふえると信じている。かえって健康不安を増長させている」と述べ、検診のデメリットを強調。検診不要論を後押ししました。

 もちろん、検診にはデメリットもあると思います。しかし、被ばくしたという不安がある以上、検診のデメリットもていねいに説明しつつ、被害者の方々が納得できる形を模索するのが筋でしょう。

 このように一方的に、上から目線の専門家会議を延々と開いていても、信頼回復どころか、ますます不信感が募るばかりです。

 いますぐ解散してメンバーを改め、いちから議論しなおしてほしいところですが、次回の専門家会議には、甲状腺がん多発を訴えている津田敏秀氏(岡山大学大学院環境学研究科教授)が有識者として招致されるようなので、見守りたいと思います。

 次回は、7月16日開催予定です。

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このレポートは、あくまでも私個人の主観にもとづいて書いております。OurPlanetTVさんがアーカイブをアップされていますので、詳しくはこちらをご覧ください。

 





2014年6月29日日曜日

保養行けて大満足!とか 思ってると思う? ホントは、私だって避難したいんだよ ~福島のママたちの本音~

福島から避難している友人AさんがFaceBookに投稿していた内容を、ご本人の許可を得て、ママレボのブログで紹介させていただきます。
「福島は、もう大丈夫なんだ」「たくさん補償金もらって、いい思いしているんでしょ」

そんなふうに思っている人も少なくないと思います。

でも、現実は違います。

中通りの方は補償金なんてもらっていませんし、今でも、放射能の影響を心配しながら、避難したくてもできていない人が多いのです。(補償金をもらえている20キロ圏内の方だって十分ではなく、生活再建できていない人がほとんどです)

もちろん、避難した人だって、「家族や友だちを置いてきてしまった」という罪悪感にさいなまれています。

それもこれも、国が最初に正確な情報を示さず、蛇の生殺しみたいな棄民政策をし続けているからです。
遠いアフリカで起こっていることではない。いまこの日本で起こっていることに、もっと関心を持ちたい。すぐに解決できないからといって考えるのをやめたくない。きっと解決策はある。


ひとりでも多くの人に、この現状を知ってほしいので、ご本人に許可をとって、当ブログでご紹介します。

*****以下、福島から北海道に避難中のAさんの投稿です****

12時過ぎ。
いつもはマナーモードにしてしまうスマホ、
バッグに入れたまま、忘れてた。
突然、そのスマホが鳴ったからおっどろいて出た。
かけてきたのは福島の友達。
今は福島の西の方にいる。
年に数回、電話をかけてきてくれる。
でも、もう夜半過ぎ、どうしたんだろう、と心配になった。
そしたら
「夏はね、娘と一緒に西へしばらく行けることになった」
と。
私は、
「わーよかったね。どの辺?ちょっと暑いかもしれないけど、
楽しめるといいね」
って答えた。
そしたら、口調が変わって
「全然よくないよ。 保養だよ。保養行けて大満足!とか
思ってると思う? ホントは、私だって避難したいんだよ」
と。
言葉に詰まってしまった。
大満足なんて思ってないって、しってるよ、でも、福島にずっといるより
しばらくストレスから解放されてくるのも いいと思うよ、、、と
言葉をひねり出した。
そしたら
「Aさんとは付き合いも長いし、ずっといろんな話して来たから
今だけ言わせてもらっていい?」
っていうので
いいよ、何でも言って、って答えた。
彼女は。。。
なぜ、自分(私)が避難して行く時に、
危ないから避難しろといってくれなかったのか。
それぞれ家庭の事情がある、とか
自分で決めるしかない、とか
綺麗事ばっかり言って。
本当は、さぁ一緒に行くよ、くらいのことは
言ってくれるかと思ってたのに。
言ってくれたら なにか 変わっていたかもしれないのに。
と、言った。
怒っているでもなく、泣いているでもなく
淡々と、言った。
こう聞かれた。
「事情はそれぞれだから、なんて、本心だった?」
絶句してしまった。
そりゃ、私だって、当時、郡山の、特に線量が高い地域にいた彼女
「危険だよ」って言いたかった。
早く逃げなよ、そこはダメだよ、って、言いたかったよ。
一緒に逃げよう、って言いそうにもなった。
だって、仲が良かったから、ずっと。
でも、そんな無責任なこと、言えなかった。
でも、あまり多くの人に、避難する話をしてこなかった私が
彼女には 「北海道に行く」と知らせたことで
何か感じてくれ、って祈るような思いだったのも事実。。。。
「私は避難なんて無理」って言ってた彼女に
「危ないのに!」
「早く逃げなさいよ」
とは、言えなかった。。。。
でも、彼女は言って欲しかったんだ、、、
思わず、言ってしまった。
「今からでも遅くないよ。」
彼女は笑った。
「もう遅いよ。子どもたちは進学しちゃったし
私も仕事を見つけちゃった。 遠くへ避難なんて、、やっぱり無理
でも、諦めるのはイヤだから、夏はちょっと出かけるの」
「うん」
と言ったら
「ベストな選択なんて 思ってないでしょう?
だって、ベストじゃないもんね、私だってそんなのわかってるけど
私が出来る中ではベストなの!」
声を荒げて、言われた。
「それぞれ、出来ることを一生懸命やろうね」
もう、これしか言えなくて
悲しくなってしまった。
彼女はすぐ落ち着いて
ごめんね、って。
自分で決められなかったことを
人のせいにするのはずるいよね
Aさんは避難したあとも
ずっと連絡くれて、いろんなことをいちから教えてくれたのに、

ごめんって。
そんなことないよー
あの時はしかたがなかったんだよー
あなたのせいじゃないよー
って言いながら
2人でわーわー泣いてしまった。
泣きながら
娘さんが最近体調がイマイチなこと、
少し気になる大きさののう胞が複数あって
経過観察なこと、
自分も体調が悪くなるたびに
不安に陥ること、、、、
こんな話をしてくれた。
なぜこんなふうに
苦しまなくちゃならないんだろう。


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