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2013年5月15日水曜日

郡山市測定レポート

■ホットスポットファインダー(HSF)による測定

ホットスポットファインダー(HSF)という測量計があります。
 
小型の検出器と計測ソフトの入ったタブレット端末をつないだセットで、タブレットには測定値が一秒ごとに表示されるものです。衛星利用測位システム(GPS)と連動しているため、マップ上でも測定値を見ることができ、マップの保存も可能です。

特徴は、小型簡易測定器の40倍以上の感度を持っていること。
また、スペクトルが見られるので原発事故由来の放射性セシウムなのか、確認ができます。
測定器は肩からかけられるので、大人の腰の高さの線量を測定できます。

この測定結果は、「DAYS JAPAN」の表紙でもおなじみです。


また、千葉の市民放射能測定室「しらベル」も、機器を導入している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130509/CK2013050902000139.html


この、ホットスポットファインダーで郡山市を測定した様子をレポートします。



■モニタリングポスト周辺の除染とまだらな汚染

モニタリングポストの数値があたり一帯の数値かと思われがちですが、必ずしもそうではありません。「モニタリングポストを信用していない」という方もいらっしゃいますが、そもそもモニタリングポスト周辺だけではなく、全体が、まだらに汚染されていて、かつ、時とともに雨などによる移動もしているので、放射線量の数値に関しては「一帯を表示する数値」はない、と考えたほうがよいように思います。
数m先のモニタリングポストが0.4μSv/hを表示しているのにも関わらず、手元のホットスポットファインダーの数値は0.7μSv/hという公園もありました。

「モニタリングポストの周辺だけ除染してあるのではないか」という指摘も、以前からあります。
実際に福島県災害対策本部原子力班モニタリングチームも、「可搬型モニタリングポスト等設置施設(570箇所)における除染作業の実施状況について」という調査をしています。
その結果、実際に99ヶ所で除染されていたことが分かり、今後もモニタリングポスト周辺を除染した場合、事実を公表すると報告しているのです。(最新は平成13年5月8日に発表)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec_file/monitoring/etc/kahangatampjyosenjyoukyou140331.pdf


■ホットスポットに建つ家

個人宅に向かうクルマの中でも測定を続けたが、0.15μSv/h~0.8μSv/hの変動がありました。概ね0.3~0.4μSv/hを推移していた印象です。

その個人宅に向かう途中、幹線道路から細い脇道に入ると、それまで0.3μSv/h周辺を推移していた数値が突然上昇し、0.8μSvになりました。
自宅周辺が、他の場所より高いことは、事故数ヶ月後から知っていたといいます。近所の方が2011年の夏頃に、線量計を手に入れ、測定してくれたそうです。

家の裏手は山。測ると、1μSv/hを超えます。
震災数ヶ月後は、玄関が2μSv/h以上あったと言います。
「だから0.3μSv/hと言われると『低くていいわね』という感覚になっちゃうんですよ」
室内も線量は高く、2階の子ども部屋が1μSv/hほどあったので、1階のできるだけ中央の部屋に子どもがいられるよう居場所を変えたとか。

「近所でいいから、子どもを避難させたい。ホットスポットになってしまったこの家よりはいいだろう、と思うんです」
何度も考えているが、そう簡単なことではありません。

「ここは子どもが幼稚園バスを待つ場所なんですが、どのくらいですか?」
と言われ、数値を確認すると、0.5~0.7μSv/h。
「きっと以前はもっと高かったはずですよね」
とため息混じりに言います。
子どもたちが震災直後にもよく遊んでいた、という場所も、同じく0.5~0.7μSv/hでした。

■罪のない子どもたちが奪われた権利

自宅周辺の線量が分かってからは、子どもたちは外遊びができなくなり、友達の家でばかり遊んでいる、と言います。
子どもが自由にのびのび外で遊ぶこと、自然と自由にふれあうことが叶わない現実が、ここにはあるのです。


■原発事故子ども・被災者支援法に託す想い

「避難したいけど、国の支援がない限り避難はできない」
そういった声は今もあります。
「避難できないが、せめて周りに気兼ねなく堂々と保養に行けるようにしてほしい」
「保養に行くためにもお金がかかる。その支援もしてほしい」
という声もあります。
被ばく回避を、個々の判断に押しつけたまま、事故から2年以上が経ちます。


今月11日、福島市で原発事故子ども・被災者支援法のフォーラムが行われました。

(アーカイブはこちら)
http://www.ustream.tv/recorded/32678289
http://www.ustream.tv/recorded/32680943
http://www.ustream.tv/recorded/32681607



その中で、参議院議員(みどりの風代表)谷岡郁子氏は
「私たちには恐怖からの自由(という権利)がある。恐怖や不安を表現する自由もある」
と話しました。
しかし、現状では、それすらはばかられている空気が作られています。
そのために、
「この問題は福島だけで解決するのは無理。全国で自分たちの問題としなければならない」
と話しました。

また、南相馬市に住む女性は分断の問題を取りあげ、
「なぜ、被害者同士が、被害者同士で、いがみあわなくてはならないのか。もう放射能の問題だけではない。支援法で、平等にしてほしい」と話しました。


原発事故子ども・被災者支援法による具体的施策を求める声が、全国から「意見書」や「要望書」という形で、復興庁や関係各省庁に寄せられています。(後日、意見書を提出した地方自治体の全国マップをこのブログでも紹介します)

福島だけではなく、ホットスポットを考慮した上で、一刻も早く、支援法にうたわれている「避難」「居住」「帰還」それぞれの選択が尊重される具体的な仕組みを実現してほしいと思います。



(ママレボ@吉田千亜)

















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