「ママレボ通信」では、「ママレボ」の雑誌には掲載されなかった、日々の取材でのこぼれ話やレポートをアップしていく予定です。

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2013年12月31日火曜日

郡山測定レポート(4)

2013年も最後の日になってしまいました。
こどもみらい測定所の所長・石丸さん、郡山市在住のAさんと、ホットスポットファインダーで郡山市内を測定(2013年9月)したレポートの続きをUPします。

* * * * *

写真は、郡山市内のとある湖です。ぐるりと散歩コースが整備されていて、近くの中学生のマラソンコースになっている道路です。

湖の周辺は、0.3~0.4μSv/h。

赤→0.5μSv/h以上
オレンジ→0.4μSv/h以上
黄色→0.3μSv/h以上

です。

何度も言うようですが、0.3~0.4μSv/hは、事故前の10倍です。でも、郡山市にいると、0.3μSv/hを「低い」と感じてしまいます。「高い」「低い」という言葉を、どう遣えばいいか、迷いますが、このレポートでは、事故前よりも高ければ「高い」と考えています。

測定の結果写真を見るとよく分かるのですが、ある部分だけ線量がとくに高くなりました。白い矢印のところからです。だいたい、腰の高さで、0.5~0.7μSv/h。地表近くでは植え込み部分で1μSv/hを超えたところもありました。(ちなみに、このマラソンコースは腰の高さで測定している数値です)

じつはこの白い矢印部分から、道路の舗装が変わっているのです。


湖の周りは、アスファルトで舗装された道でした。矢印から左側は、「透水性舗装」と言われている道路で、路面に降った雨水を、舗装内の隙間から地中へ浸透させる機能を持たせていました。
つまり、表面がザラザラ、ボコボコしています。(イメージ写真を下に貼ります)



「透水性舗装」は、その名のとおり、水はけをよくするための舗装なのですが、実際は、隙間に砂、泥が詰まることから数年で機能低下が起こるという欠陥が指摘されています。その、隙間に、放射性物質が入りこんでしまったようです。
アスファルト舗装から透水性舗装にかわる境目(写真上:白い矢印)から、突然、線量が上がるのです。

もし舗装の種類によって線量に差が出るとわかれば、子どもたちが気をつけるべきポイントのひとつとして、伝えられるかもしれません。

現在、この透水性舗装の部分を含めたマラソンコースは、測定のあと、2週間かけて除染がされました。
Aさんが、この測定結果を、郡山市長に届け、その結果をみた市長が「中学生のマラソンコースの測定値」という事実を重く受け止め、緊急除染を指示したということです。

前にも書いたとおり、ホットスポットファインダーは、環境省のお墨付きをもらっている測定器です。そういった信憑性のある測定結果を、自治体に届け、要望を伝えることは、できるだけ子どもを被ばくから守る第一歩として、大切なことかもしれません。
Aさんは、「今後もチャンスがあれば、(測定結果を)届けたい」と話してくださっています。

郡山測定レポート(3)
郡山測定レポート(2) 








ママレボ@伊藤

(郡山測定レポート(5)につづく)





2013年12月14日土曜日

~汚染地に住むリスクを認め、保養・給食の安全・健康診断を徹底すべき~ OurPlanetTV 白石草さんの「ウクライナ取材報告会」のまとめ

 OurPlanetTVの白石草さんが1211日、参議院議員会館で「ウクライナ取材・帰国報告会」を開き、低線量汚染地域である「コロステン市」の学校で、どのように健康管理や保養が行われているかについて取材報告を行いました。たいへん重要な内容だったので、そのポイントを以下にまとめます。

→ 詳細は、報告会の動画をご覧ください。
→ 当日の配布資料


◇コロステン市の汚染状況

 白石さんがウクライナを訪れたのは、2013年1113日〜26日の約2週間。
コロステン市は、NHKのETV特集低線量汚染地域からの報告でも紹介されていた街として記憶されている方も多いと思います。チェルノブイリ原発から約140キロの位置にあり、人口は65千人。
 白石さんの報告によると、コロステン市の人たちが、チェルノブイリ原発事故後25年間に浴びた積算被ばく線量は、1525ミリシーベルト。つまり、年間被ばく量に換算すると1ミリシーベルトかそれ以下ということです。ちなみに事故直後のコロステン市では、毎時10マイクロシーベルトを超える線量が計測されていたそうです。事故から25年たった現在の空間線量は、0.060.1マイクロシーベルト毎時ほど。チェルノブイリ法で定められている汚染区分では第3区分(移住の権利ゾーン)にあたるエリアです。
 現在日本政府は、年間被ばく量20ミリシーベルトの場所へ住民を戻そうとしているわけですから、それと比べるとコロステン市は、線量の低い町といえるかもしれません。


◇汚染地域の学校での取り組み

 白石さんの報告によると、ウクライナは「小中高一貫教育」で、6歳〜18歳までの子どもたちが同じ学校で学んでいるそうです。
 うわさに聞いていた通り、やはり汚染地に住む子どもたちの間では「体力の低下」や「非ガン性疾患」の増加が顕著で、政府は1997年に、汚染地に住む子どもたちのための施策を閣議決定したとのこと。
 その施策は主に3つあり、ひとつ目は「授業時間の短縮」、二つ目は、「汚染されていない給食の無償配布」。三つ目は、「健康診断」です。


〜授業時間の短縮〜
 通常の学校は45分授業ですが、汚染地の学校は40分授業に短縮。小学校1年生は、さらに5分短縮して35分。短縮授業を実施するかどうかは校長の裁量によるそうですが、汚染地のほとんどの学校で導入されているとのこと。
 授業短縮を導入した背景としては、子どもたちが疲れやすかったり、頭痛を訴えたり鼻血を出すこどもが多かったりしたため政府判断で実施することになったそうです。チェルノブイリ原発事故から27年たった現在でも短縮授業は継続されています。このほか、汚染地の学校では、卒業試験や大学入試試験の免除などが実施されています。

〜 汚染されていない給食の無償配布〜
 具体的に何ベクレルの食材が使われているのかは不明ですが、汚染地の子どもには給食が無償配布され、学校を休んで給食を食べられなかった場合には、現金で至急されるそうです。

〜「健康診断」について〜
 汚染地の学校では、念に一度、子どもたちの健康診断を実施しており、健康診断の結果に問題のあった子どもは、病院で血液検査や超音波検査などを受けることができ、必要であれば治療を行うという流れになっています。
 また、学校の健康診断の結果と「ルフィエテスト」という心臓の負荷状態を調べるテストの結果によって、体育の授業がグループ分けされています。なぜ、こうしたスキームができたかというと、2年前に体育の授業中に倒れて亡くなる子どもがふえたため、こうした対応がとられることになったということです。
 体に問題のない子どもは「基本グループ」、体力のない子どもは「準備グループ」、なんらかの疾患がある子どもは「特別グループ」、障がいがあって体育の授業が受けられない子どもは「免除グループ」と4つに分けられており、白石さんが訪れた学校では、「基本グループ」が157人、準備グループが385人、特別グループが90人、免除グループが13人とのことでした。
 基本グループの子どもよりも、準備グループの子どものほうが多いということに改めてショックを受けました。

 「原発事故前は、病気の子どもは30人にひとりだけでしたが、現在はふえています。みんな疲れやすい。私が校長になってから12年間で白血病の子どもが4人、そのうち2人は死亡しました。死亡したうちのひとりは、学校の先生が子どもの肌が黄色くなっていることに気づいて検査を受けさせたところ、白血病だということがわかりました。もう一人の子どもも、背中が痛いというので検査したところ白血病でした。教師3人も若くして亡くなっています。最近は、筋肉、甲状腺、目が悪くなるなどの非ガン性の疾患がふえていて、ひとりが複数の疾患をもっているケースが多い」(コロステン市の学校の校長先生談)


  元気な子どもと、疾患を持っている子どものちがいは何か?

 次に白石さんら取材班は、学校の先生に依頼して「元気な子ども」がいる家庭と、「疾患を抱えている子ども」がいる家庭をそれぞれ紹介してもらい、取材にうかがいました。

〜疾患を抱えた子どものケース〜
 マリアさん(14歳)は、生後3ヶ月で麻痺がおこり、生まれもって肝臓や脾臓などの疾患を持っているそうです。幼少時代には、気を失って入院したこともあり、現在は糖尿病の疑いなどがあって食事制限をしています。日常生活においては、疲れやすく集中力がありません。体育の授業は特別グループで、障がい者認定を受けています。
(チェルノブイリ障がい者認定ではない)炭酸飲料やスナック菓子を食べると発作が起きるので、母親のナタリアさん(37歳)は、無農薬の野菜を使った健康的な食事をとらせるよう心がけているそうです。
 チェルノブイリ原発事故は、母親のナタリアさんが10歳のときに起こりました。ちょうどそのころ、メーデーのパレードの練習のためナタリアさんは長時間屋外にいて被ばくしてしまいました。
 ナタリアさんには、長女マリアさんのほか、18歳の長男サーシャ君がいますが、彼には重度の知的障害があり、現在はナタリアさんの母が預かって世話をしているそうです。また、ナタリアさんは2年前に3人目の子どもを妊娠したそうですが、妊娠中に大きな奇形が見つかって出産を断念されたそうです。
 ナタリアさんにお話をうかがっている最中、通訳の女性が泣き出してしまうほど辛い内容だったと白石さんは語っていました。

〜元気な子どものケース〜
 タラスくん(10歳)は、基本的に元気ですが、体育の授業は準備グループに属しています。タラスくんは視力が悪いそうで、視力回復プログラムのある保養に行くと、良くなるとのこと。
 タラスくんの母親のガリーナさんは非汚染地帯の出身で、父親のアレクサンドルさんは第3級の汚染地帯出身(ベラルーシから7キロの地点にあるオルブチ地区)ですが、原発事故のあとヨウ素材を服用したとのこと。こうしたちがいが、子どもたちの疾患に影響を及ぼしているのでしょうか。因果関係は明確にはわかりません。


  確立されているウクライナの保養スキーム

 白石さんらが取材したコロステン市外来病院の小児科医(心臓疾患専門)によると、「原発事故後は子どもたちの先天性疾患がふえている」とのことです。
 心臓疾患による一日あたりの受診者数が20人くらいで、そのうちの大半が先天性による疾患です。はっきりとした病名がつく疾患ではなく、なにやらよく分からない疾患が多いそうです。白石さんが取材中にも、発作が起きると頭のてっぺんから出血する、という奇妙な病の女の子が外来を訪れていました。

 こうした状況のなかで、重視されているのが「保養」プログラム。チェルノブイリ法に関連して、1997年に「保養の優先がある子どもに関する閣議決定」がなされ、保養プログラムがシステム化されました。
 閣議決定の具体的な中身は、(1)汚染地の被災者認定された子どもは無料で保養が受けられる。()財政は国や市が負担する。(3)日数は21日間(当初は28日間だったが短縮)、(4)保養は夏休みだけではなく一年を通して実施。(5)学校の看護師などが付き添い、学校の健康診断の結果をもとに保養先を決定。(6)親は子どもに合わせて休暇をとることができ、保養に同伴する。などが挙げられています。

 保養実施までのスキームですが、各学校で子どもたちが「健康診断」や「ルフィエテスト」を受けた結果が、学校の看護師を通して「保養先の選定委員会」に送られます。 「保養先の選定委員会」では、全国から保養受け入れの情報を一元化しており、子どもたちの健康状態に応じて保養先をマッチングさせるのだそうです。
 また、つねに外来病院から学校へ医師や看護師が派遣されており、外来病院の小児科の中にも「学校保険の部屋」が設置されていて、子どもたちの健康状態を相互的に把握できるというスキームも成り立っています。つまり、学校や外来病院、保養先の選定委員会などがすべて連携し、保養も含めた子どもの健康管理を実施しているということです。
 もともとウクライナでは、夏休みに長期保養に出るという習慣があったため、スムーズに行われているのだと思います。事故以来27年間、保養は休むことなくつづけられており、日数や対象者が若干減ってはいるものの重要な政策として位置づけられているとのことでした。

  組長や政府関係者も「保養と健康診断は絶対必要」という見解

 白石さんら取材班は、コロステン市のモスカレンコ市長や、国家戦略研究所のナスビット研究員など、汚染地域の組長や政府関係者にもインタビューしていました。
 彼らは、「子どもたちの疾患と被ばくとの因果関係には否定的」という立場だそうですが、そんな彼らでさえ「汚染地に住む」ことに対する居住リスクは十分に認識しており、「被ばくとの因果関係がよくわからないからこそ、健康診断や安全な給食の確保、保養は絶対に必要だ」という考えを持っているとのことです。

 日本政府は、「子ども被災者支援法」の成立以前にチェルノブイリへ視察に出かけ、モスカレンコ市長やナスビット研究員にもヒアリングをして報告書を作成しています。しかしこの報告書のなかでは、「汚染地での居住リスク」や「健康診断、安全な給食の提供、保養」などの必要性は盛り込まれておらず、たんに「年間被ばく量1ミリや5ミリシーベルトでの移住政策」に対する批判ばかり取り上げています。
 しかし白石さんによると、モスカレンコ市長やナスビット研究員らは、チェルノブイリ法の必要性を否定しているのではなく、「年間被ばく量が1ミリシーベルト以下の場所に住む人たちにも補償が支払われているため、本当に支援が必要な人に十分行き渡っていない」という点などからチェルノブイリ法には問題がある、と言っているようです。そのうえで、「汚染地に住む人々を補償する法体系は必要であり、特に子どもの健康管理、安全な給食の提供、保養はむしろもっと強化すべきである」という考えを持っています。

 これらのことから白石さんは、日本政府に必要なのは、「まず、汚染地での居住リスクを認めること。そのうえで、学校を軸として地域の病院や医師らが連携して、子どもたちの健康診断や保養政策を進めていく必要がある。現在のように福島県立医科大学だけで健康調査をするのはリスクが大きすぎる」と述べていました。
 現在日本では、なんの補償もないまま年間被ばく量20ミリシーベルトの場所へ住民を帰還させようとしています。移住を選ぶ権利や、住民が納得するかたちでの健康診断、保養、給食の安全も確保されないままです。
 それどころか、“風評被害”という言葉で、“実害”を覆い隠そうとし、「100ミリシーベルト以下ならリスクはない」といわんばかりの一大安全キャンペーンが繰り広げられています。
 ウクライナの事例をみれば、事故後25年の積算線量が1525ミリシーベルトの地域でさえ、事故後に生まれた子どもたちにもさまざまな疾病が生じていることがわかります。
 こうした事態を少しでも防ぐためには、汚染地域で居住するリスクを認めたうえで、しっかりした健康管理、とりわけ子どもの検診、保養、安全な給食の提供は、最低限行ってほしいと思います。
 今、子ども被災者支援法は骨抜きにされたままですが、さらなる充実を求めていく必要があると強く感じました。

 詳しくは、ぜひOur PlanetTV の動画をご覧ください。


2013年11月28日木曜日

【いわき市】新市長・清水敏男氏に「学校給食における地産地消の取り組みを辞めることを求める要望書」を提出

11月27日、いわきの初期被ばくを追求するママの会が、新しく就任した清水敏男市長に、「学校給食における地産地消の取り組みを辞めることを求める要望書」を提出しました。

要望書の詳しい内容はこちらです。


「前の市長は、結局一度も面会しなかった」という話を聞いていたので、 「今度の市長はどういう人なんだろう、子どもたちを守る意識を持つ市長だろうか」――と、県外に自主避難中のAさんと一緒に参加しました。

いわき市は、福島県内でも、学校給食に福島県産のお米をつかっていない数少ない自治体のひとつ。来年3月から、その対応がどうなるのか、多くの保護者が感心を寄せています。





市長の短い挨拶のあと、いわきの初期被ばくを追求するママの会・共同代表の鈴木さおりさんから「学校給食における地産地消の取り組みを辞めることを求める要望書」が読み上げられ、市長の手に渡されました。 

それに対して、市長は――


「9月28日に就任して、さっそく『今年の新米を給食に』と言われました。でも、今年度(3月)までは北海道産米、という判断をしました。来年4月以降は、教育長の意向も勘案しながら、決めていきたいと思います。
じつは、市長になってから、いわき市の学校給食の検査態勢をまだ見ていません。その現場を見させていただきたいと思います。皆さんの代表と一緒に、見に行ってもいいです。お互い納得する形でやっていきたいと考えています。みなさんの思いは、子を持つ親として当然のこと。安全と安心は違います。一方で、時間の経過も判断材料になってきます。さまざまな要件を勘案しながら決めていきます。ご理解いただければと思います」

と話しました。 


* * *

「『地産地消はNO』と声を挙げることも心が痛みます。 この場所に来ることにも、勇気が必要なんです」

と話すのは、いわきの初期被ばくを考えるママの会・共同代表のちばゆみさん。
「放射能の問題」について、「内心気にしていても雰囲気を察して話題にしない」「生活で精一杯でそこまで手が回らない」「コミュニティーを維持するために黙ることを選ぶ」という話を、至るところで聞きます。いわき市も例外ではありません。
それでも、会場には、世代も性別もバラバラの、たくさんの方が駆けつけていました。
 
Aさんもこんな風に話してくれました。

「今日、来た保護者のひとりひとりの後ろには、きっと、200人くらいの保護者の思いがあるんです。みんな、働いていたら来れないし、表だってこういう場所には来たくても行けない、避難先からかけつけられない、そういうひとがきっとたくさんいます
いわき市の姿勢も、帰るか帰らないかの大きな判断基準になるんです」






* * *

初期被ばくの問題を抱えながら、できることは限られています。それは、これ以上被ばくをさせないことです。これから先長年、この不安と付き合っていくことになります。出来る限りの予防をしてください。予防原則にたって考えてください。そして、測定をすれば大丈夫なのか?という問題もあります。『あのときのお米にストロンチウム・プルトニウムが入っていました』では遅いんです」

* * *

「250キロ離れた避難先から、3分前に会場に着きました。保護者は、命がけで子どもを守りたいと思っています。いわき市で子どもを守ることに努力しているということが分かれば、多くの保護者、そして避難している母親たちにとっても安心につながります。いわき市が努力して、それを全国に発信してほしいです」

* * *

「初期被ばくのうえ、あの当時、1リットルあたり200Bq/kg含まれていた水を口にしています。 今後も健康への不安はずっと続きます。0Bq/kgの給食を提供してほしいのが本心です。それは大人の役割だと思います。市長がこの機会を設けてくださってありがたいですが、子どもたちの健康を担保しないと、復興はないと思っています

* * *

「測定について質問させてください。
①サンプリングの方法を教えてください。給食を作る数が多いということは、いろいろな畑から採ったものを つかっていると思います。
②β線のことです。ゲルマニウム半導体検出器でもβ線は測れません。そのことも将来的にどう考えるか、お答えください。
③文科省はいわき市で土壌のβ線を測定していません。その点について、いわき市でも申し入れをしているかもしれませんが、教えてください」

* * *

ひとりひとりの発言に、「子どもをできるだけ被ばくさせない」「行政が真摯に受け止め、子どもを守ってほしい」という思いが溢れています。

11時40分から12時までの20分間という短い時間はあっという間でした。


「何の力もない母親が想像を超えるほど大きな問題を、ずっと判断させられてきています」

「子育て中の私たちだけの問題にしないでください」



保護者の声は、いわき市長に届いたでしょうか。

来年4月、どのような決断をするのか、しっかり見守りたいと思います。





【いわき市内の活動】


「いわきの初期被ばくを追求するママの会」
http://iwakinomama.jugem.jp/
「NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね」
http://www.iwakisokuteishitu.com/
「mama'n chu! cafe(ママンチュカフェ)プロジェクト」
http://iwakimama.exblog.jp/20823519/
「いわき母笑みネットワーク」
http://natureherb.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

そして、
「おしどりマコ・ケンの脱ってみる?」
http://www.magazine9.jp/oshidori/index.php
こちらも必読です。



(ママレボ@伊藤)


2013年11月14日木曜日

専門家から続々!「原子力規制庁の20ミリシーベルト帰還案にNO!」の声

~「ママレボ編集長通信」について~


「ママレボ編集長通信」は、このブログだけでなく、PDF版でも発信しています。
なぜPDF版を作成しているかというと、「インターネットを見ない方」にも、プリントアウトして配付していただけたら……と考えているからです。
 プリンターで“両面印刷”を選択してプリントアウトしていただくと、A4裏表1枚におさまるようにしています。
 ぜひ、「ママレボ編集長通信」をダウンロードしていただき、お知り合いに配付してくださいね!

 「ママレボ編集長通信」のダウンロードは、こちらから。

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「ママレボ編集長通信No8」のブログ版は下記でもお読みいただけます

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 年間20ミリシーベルトの被ばくを下回ることが見込まれる地域へ帰還を促進するため、原子力規制委員会が4回にわたって開いていた『帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム』が1111日、提言をまとめました。

 すでに報道されているように、提言の内容は、今まで政府が除染目標として定めていた“年間1ミリシーベルト”を事実上撤回し、空間線量ではなく、「個人線量計」による自己管理で「年間被ばく量20ミリシーベルト以下」をめざそうというもの。これにより、除染や賠償の費用をできるだけ軽減させようというねらいがあるものとみられています。

 事故直後から、日本政府は「年間被ばく量100ミリシーベルト以下では、有意な健康影響は認められない」という考え方に依拠した政策を打ち出しており、今回このような検討チームを開いて議論するまでもなく、最初から“結論ありき”で進んでいたと言えるでしょう。


 しかし、委員の春日文子氏(日本学術会議副会長)からは、「英国の医学雑誌“ランセット”には、100ミリシーベルト以下の被ばく量でも白血病がふえたという報告もあるので、そうした見解も盛りこむ必要がある。また、帰還する人への施策だけでなく、帰還しないと決めた人に対する施策も同等に行うべきだ」といった意見が出されました。

 検討チームは、近く委員たちの意見を提言書に反映し、原子力規制委員会で承認を得るとのこと。“年間20ミリシーベルト”はとうてい容認できる数字ではありませんが、春日氏のような意見がどれくらい盛りこまれるかも今後の注目点のひとつになります。

 そこで、『ママレボ』編集部では、「年間被ばく量20ミリシーベルトと政府の責任放棄」にNO!という声をあげるべく、各分野の専門家の方々からコメントをいただきました。
 これらの声を広めることで、被害当事者に年間20ミリシーベルトの被ばくを押しつけようとしている政府に、反対の意思を示したいと考えています。


                 『帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム』会議の様子


****専門家たちが、年間被ばく量20ミリシーベルトに反対する理由****


◇「年間20ミリシーベルト以下で安全」は政治的経済的基準 (元放射線医学総合研究所主任研究官・医学博士/崎山比早子)

 原子力規制委員会の新指針「年間被ばく量20ミリシーベルト」は、放射線作業従事者の年間線量限度だ。それを放射線に感受性の高い妊婦、乳・幼児、子どもを含む全住民の線量限度とするという神経は、いったいどこから来ているのか?
 これまで科学的に積み重ねられた証拠は「放射線に安全量はない」ということを示しているし、国際機関もこれを認めている。しかもこれは1年間の線量であるから、5年住めば100ミリシーベルトになる。
 それでは、なぜ今になってこれまでの年間1ミリシーベルトではなく、20ミリシーベルトまでを安全とするキャンペーンが声高になってきたのか? そうしないと、避難させなければならない住民、補償しなければならないものがふえるからで、これは人のいのちよりも経済を優先させた考え方だ。
 個人線量計をつけさせ、多くの住民を被ばくさせながらその健康を管理するという方針は、これから大規模な人体実験を行いますよということに等しいのだ。
                 

1020ミリシーベルトの被ばくでがんは有意にふえる
北海道深川病院内科部長/松崎道幸)

政府は、100ミリシーベルト以下の放射線被ばくでは、がんのリスクは無視できるほど小さいと述べている。しかし、2010年以降、重要なデータが3つ公表された。

(1)医療被ばく(CT検査など)10ミリシーベルトごとに、がんのリスクが有意に3%ずつふえていた。(カナダ)
(2)日本の原発労働者のがん死リスクが、10ミリシーベルトの累積被ばくで、有意に3%ふえていた。
(3)自然放射線被ばくが1ミリシーベルトふえるごとに、子どもの白血病のリスクが12%ずつ有意にふえていた。(イギリス)

このほかにも、1020ミリシーベルトの被ばくでがんが有意にふえることを証明した科学論文が公表されている。毎年20ミリシーベルトの被ばくを5年間続けると、大人のがんは30%ふえ、子どもの白血病は12倍ふえることになる。
最新の科学データを無視し、放射線被ばくの影響を一ケタ過小評価した政策を進める政府に、われわれと未来の子どもたちの健康を託してよいのだろうか。





◇私が20ミリシーベルトに反対する理由
(東京大学大学院教育学研究科教授/影浦峡)

 (1) 一般公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルトという法的枠組みがある。管理基準とはいえ、社会的な合意であり、事故が起こったからといって基準を変えることは許されない。

(2) ICRP(国際放射線防護委員会)の現存被ばく状況では、120ミリシーベルトの低いほうから参照レベルを選ぶとされている。これは、やむをえない状況における防護対応のステップを示す目安であって、20ミリシーベルトまで安全だとうこととはまったく違う。

(3) 国連健康に関する特別報告者勧告(グローバー勧告)も、1ミリシーベルトを達成する具体的な時間を定めるよう求めている。

(4) 20ミリシーベルト以下で影響がないといった主張は、「わからない」ことを「存在しない」ことにすり替える詭弁(きべん)で、非科学的な態度である。

(5) 最近、低線量でも影響があることを、エビデンス(医療的な意味での証拠)とともに示す研究が複数現れている。

もはや「低線量被ばくについてはわからない」と開き直ることは、けっしてできない。



◇年間20ミリシーベルトは、医学的見地からも、きわめて無責任
(医学博士ヘレン・カルディコット)

 みなさんに認識していただきたいことは、「放射能」に関する安全な数値など存在しないということだ。これは全米科学アカデミーも発表している。しかも、子どもたちは大人以上に「放射能」による人体への影響が高く、「がん」の誘発率は1020倍になるといわれている。さらに、女性は男性よりも「放射能」に対しても敏感であり、人体に受ける影響の確率が高いのだ。日本政府が今回出した年間20ミリシーベルトという数値は、医学的見地からも、きわめて無責任な行為である。放射能の危険性に対しては、福島のみに限られているようだが、広範囲の地域への対応をただちに開始すべきだ。そして、すでに年間1ミリシーベルト以上の「放射能」を浴びている人々は、すべての病の発生を想定し、長期的な健康診断を続けなければならない。




◇健康障害のリスクを軽視する指針は、医師として許せない
 (内科医/牛山元美)

 CTスキャンや心臓カテーテル検査によって、約10ミリシーベルトの医療被ばくを受けた方の発がん率は、およそ3%上がるという報告がある。オーストラリアやイギリスからも、5ミリシーベルトを超える被ばくで白血病やがんの発病率がふえたという大規模な研究報告が相次いでいる。低線量による健康障害の実態は、まだ未解明な部分が多いとはいえ、新たな研究報告があるたびに、やはりより低線量でも危険であることが立証されているところだ。明らかに多大な健康障害を生み、でも個人が努力することで解消できる喫煙習慣を引き合いに出し、のがれられない年間20ミリシーベルト の被ばくによる発がんリスクを軽視させ、発がんを国民の自己責任にしようとする責任転嫁、健康的生活を営むという基本的人権の侵害、経済効果を優先し健康障害のリスクを明らかに軽視する今回の指針は、医師として許せない。


◇個人線量に着目することで、調査・除染責任を放棄した政府
(東京災害支援ネット代表 ・弁護士/森川清)

 「個人線量」をもとに被ばく線量を評価することで、20ミリシーベルト基準と相まって施策の放棄ともいえる事態が生じるおそれが大きくなる。本来、「公衆」をベースに地域全体に対して施策を検討すべきものとして地域全体の汚染状況の調査を進め、それに合わせて除染をすべきところ。なのに、具体的な「個人線量」に着目することで調査を放棄して、除染をはじめとする施策をきわめて限定的なものにしてしまう。また、事前的な評価から事後的な評価に変わってしまうと、被ばくしたあとで施策に活かしていくことになり、個々の住民の安全が保障されなくなる。帰還にあたっては、徹底的な汚染状況の調査と除染を求めていかなければならない。



◇帰還しない場合の支援措置も充実を
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授/平川秀幸)

 今回、原子力規制庁が示した基本的考え方(案)は、「帰還に向けた」という検討チームにあてがわれた議論の枠組みに縛られている。そのため、帰還した場合の放射線防護や生活再建については重要な一歩となりつつも、帰還しない場合の生活再建支援のあり方にはほとんど触れていない。このため、すでに帰還しないと決めている人だけでなく、帰還するかどうか迷っている人にも制約が残るものになっているのではないか。このままでは、帰還しない場合の支援措置が不十分だったり見通しが不透明だったりするために、しかたなく帰還を選ぶケースも出かねない。このような偏りは、つい最近まで政府が「全員帰還」を原則にしていたことの結果であり、今後は速やかに、子ども被災者支援法に則るなど、帰還しない場合も含めた総合的な支援体制を用意されるよう、政治のイニシアティヴが発揮されなければならない。


◇科学的根拠のない20ミリシーベルト
(岡山大学環境生命科学研究科 教授/津田敏秀)

 もちろん、1-20ミリシーベルトという数値に“医学的根拠”はない。ましてや、「20ミリシーベルト以下でがんがでない」かのように解釈するのはまちがいだ。
 実際に、累積20ミリシーベルト以下の被ばくでがんの多発は確認されている。年間20ミリシーベルト以下は、がんが多発しないというのを全年齢層に適用するのはまちがいであり、今後、さらに混乱を呼び起こす元となってしまうだろう。


◇「カネのための科学」で、棄民政策が恒常化される
(北海道がんセンター名誉院長/西尾正道)   

 政府・原子力規制委員会は、「年間20ミリシーベルトで安全・安心」として、福島県民の帰還促進をはかる方針を打ち出した。事故前は年間1ミリシーベルトだったが、事故後はあと出しジャンケン的手法で20ミリシーベルトまで引き上げるという国家的な犯罪行為を行ったが、今度はその犯罪行為を恒常的なものとしようとしている。1ミリシーベルト以上の住民は低線量被ばく下におかれ、長期的な生体実験をされているようなものである。医学論文では20ミリシーベルト以下でも健康被害が生ずるとする多くの報告があるが、こうした科学的な証拠は無視し、原子力政策を進めるために棄民政策を正当化することに奔走している。「国民のための科学」ではなく、御用学者が作った疑似科学物語に依拠して「カネのための科学」となっている日本の現状は、悲惨な結果につながることになるだろう。

    
***************

こうした専門家たちの声を、ぜひ多くの方々に広めてください。



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ゆうちょ銀行 普通口座  
記号:10060 番号 35724411 
ママレボ編集チーム

なお、他行金融機関からお振り込みの場合は、以下となります。 

ゆうちょ銀行 店名:〇〇八 ( ゼロゼロハチ )/店番:008/普通預金/ 口座番号:3572441