「ママレボ通信」では、「ママレボ」の雑誌には掲載されなかった、日々の取材でのこぼれ話やレポートをアップしていく予定です。

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2013年8月31日土曜日

【パブリックコメント募集中!】原発事故被害者を支援しようとしない、支援法の基本方針にNoと言おう!

 すでに報道されているように、復興庁は8月30日、法案成立後1年半も棚上げにしていた「原発事故子ども・被災者支援法」(以下、支援法)の基本方針案を発表しました。

 しかしながら、中身を見てみると、支援法の理念をまったく無視するものでした。



                 <復興庁が発表した基本方針(案)概要>

(画像をクリックすると拡大します)


 「支援対象地域」が、福島県内の中通り・浜通りなど33市町村と非常に限定的です。

これまで、被害者や支援団体等は、3.11前まで法律で定められていた一般人の追加被ばく線量1ミリシーベルトを超える地域を支援対象地域として指定するよう求めていましたが、まったく無視されています。


 これは現在、政府が進めている「年間追加被ばく線量20ミリシーベルト以下」の地域への帰還促進を基準に据えていることのあらわれであり、支援法に謳われている「放射線の人体に対する影響は解明されていないため、予防原則に基づいた支援が必要」という理念からは,ほど遠いものです。


  支援の中身についても、「汚染状況調査」「除染」「医療の確保」「子どもの学習支援」「自然体験活動の支援」「高速道路無料化などの移動の支援」といった、既出の内容ばかりであり、この法案の肝とも言える「避難・移住の権利」バッサリ切り捨てられています。

 これから県外に移住したいという方に対する「新規住宅支援」は盛り込まれず、支援法の「移住する人も、残る人も、帰還する人も、すべてが等しく支援される」という理念に反しています。


 復興庁の根本大臣は、今回の基本方針案には、今年3月に打ち出した「支援パッケージに入っていなかった『個人線量計による外部被ばくの把握』等を盛り込んでいる」と胸をはって述べていますが、被ばく線量を個人で管理させるということの真意は、この2年半政府が進めてきた除染作業が思うように進まず、目標としていた「年間被ばく線量1ミリシーベルト以下を目指す」という状況にはほど遠いため、個人で管理させることでお茶を濁そうということなのです。


 また、いきなり登場した「準支援対象地域」の規定もあいまいで、根本大臣は、「準支援対象地域では地域ごとに必要な支援策を講じる」と述べていますが、これは補償の範囲を極力減らしたいという姿勢のあらわれでしょう。さらに地域での分断をうみかねません。

 福島県近隣には、栃木県那須塩原市のような福島の中通りや浜通りと同等か、それ以上の汚染が広がっている地域があります。

 また、千葉県の柏市や我孫子市といった東葛地域も、年間追加被ばく線量が1ミリシーベルトをゆうに超える地域で、子どもを持つ親たちは不安な日々を送っています。

 こうした地域は、「準支援対象地域」にすら、指定されていません。

 政府がみずから計測した航空機モニタリングによる空間線量率マップを見てもわかるように、あきらかに対象地域に指定されるべき地域(栃木県、群馬県、千葉県の一部地域)が対象から外されているのです。

 そしてもうひとつ大きな問題は、これら不十分な基本方針案を、たった2週間のパブリックコメントを募集しただけで、閣議決定しようとしていることです。

 この支援法の中には、「被災当事者の声を聞いて、具体的な施策を決めること」と謳われており、これまで被災当事者や支援団体は、再三「各地で公聴会を開いてほしい。恒常的に被災者の声をヒアリングできるような拠点をつくってほしい」と要望してきました。が、無視されつづけています。

このように、今回復興庁が出してきた「基本方針案」は、原発事故の被害者をまったく支援しようとしていない内容だ、ということを念頭に踏まえた上で、ひとりでも多くの方がパブリックコメントを寄せてくださることを願っています。

 チェルノブイリ原発事故のあと、当時のソ連政府でも、年間5ミリシーベルト以上の地域は強制避難させました。
 現在の日本は、それ以下の対応です。

 ぜひ私たちの声を政府に届け、このおかしな基本方針を考え直してもらうよう、要望しましょう。

 原発は日本中に54基あり、いつどこで事故が起こるかわかりません。
明日は、自分自身の身にふりかかってくることですので、ここでしっかり原発事故の被害者救済の雛形をつくっておく必要があるのではないでしょうか。

パブリックコメントの記入はこちらから
(たくさんのみなさんの声が復興庁に寄せられ、当初のパブコメ〆切が10日延長されて9月23日〆切になりました!)

緊急署名はこちら (締切:9/2午前11時)


 ***下記のブログに詳細情報がまとまって掲載されていますのでご覧ください***


原発事故子ども・被災者支援法、基本方針発表とパブコメの呼びかけ」(子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク)


こちらも、現在の状況を考えるうえで大変参考になります。



【2013-08-29】原発問題 『避難・除染政策はどうなっている?』(そもそも総研/モーニングバード)





2013年8月26日月曜日

「原発事故被害者の救済を求める全国運動」キックオフ記者会見~原発事故子ども・被災者支援法の早期実施と、損害賠償請求権の時効延長を!~

「原発事故被害者の救済を求める全国運動」キックオフ記者会見が8月26日(月)、参議院議員会館で行われました。

 主催は、「原発事故被害者の救済を求める全国運動 実行委員会」。

 この全国運動のねらいは、世論を喚起し、「原発事故・子ども被災者支援法」の早期実現と、東電への賠償請求に関する消滅時効延長のための特別措置法制定を求めることです。





■国民的なムーヴメントに

 超党派の議員立法により、全会一致で2012年6月に成立した「原発子ども・被災者支援法」。

 しかし、成立から2年半経った今も、支援対象地域すら決められていません。

 そればかりか、復興庁の水野前参事官によるTwitter暴言事件などが明るみに出て、政府が意図的にサボタージュしているとしか思えない由々しき事態となっています。

 これら一連の問題を受け、福島県などの住民や自主避難者計19人が8月22日、国を相手取り、基本方針の早期策定などを求めて東京地裁に提訴しました。 

 しかし、被災者の救済と賠償に後ろ向きな政府を動かすためには、訴訟だけでは足りません。

原発事故被害者の救済と東電への賠償請求に関する時効延長を求めるためには、世論を喚起し、国民的なムーヴメントにする必要があるのです。
 そこで今回、これまで支援法の早期実施を働きかけていた支援団体や被害当事者などが集まり、「原発事故被害者の救済を求める全国運動」が開始されたというわけです。
 

「原発被害者の救済を求める全国運動」呼びかけ文

http://www.foejapan.org/energy/action/130816.html


 この日、記者会見に参加した呼びかけ人の佐藤和良さん(いわき市議会議員)は、
「支援法が成立したことで、15万人の避難者や195万人の福島県民、さらには東日本で1ミリシーベルト以上のところに住む人たちが共通に支援される枠組みができた。
 しかし、政府の不作為によって支援法の基本方針策定が先延ばしにされている。国民的な運動を起こして何としても支援法の実施を急がないといけない」 

と話し、原発事故・子ども被災者支援法の早期実施と賠償の時効撤廃を求める嘆願署名を「500万筆集めたい」と、決意表明しました。



★嘆願署名はこちらからダウンロードできます!



<子ども・被災者支援法の幅広い適用と早期実施 賠償の時効問題の抜本的な皆生tうを求める嘆願署名>




■被害は進行中、時効期間の延長を

 次ぎに、福島第一原子力発電所の事故による損害賠償請求権の消滅時効について、
海渡雄一弁護士が、

「見通しがたってから請求をしようと思っている人も多い。そういう人たちの権利を奪うということがあってはならない。年末までには特措法の制定ができるよう、日弁連としても全力を注ぐつもりだ」

と述べました。

 海渡弁護士の説明によると、現在、福島県から避難している人の人数は約15万人。

福島県内にとどまっている人は190万人以上と推定されますが、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)に申し立てをしている件数は、わずか7090件だそうです。

 東電側は、政府が指定した避難区域の住民で、すでに仮払い補償金を受けている人は、「時効中断の対象」となると見なしているようですが、仮払金を受領していることを証明するダイレクトメールを受けとることができない被害者や、受け取っていても、それを示せない被害者は、対象からもれるおそれがあるのだそうです。


 また、避難区域外である中通りや、那須塩原といった放射線量が高い地域は、まったく時効中断の対象に含まれていません。


 つまり、原発事故による損害賠償請求をしたいと思っても、事故から3年経過すると時効が成立してしまい、泣き寝入りするしかなくなる可能性があるのです。


 現在、仮払い報奨金を受け取っている被害者であっても、今後何年間、東電が補償を継続するかについては、まったく不明のままです。


海渡弁護士は、


 「時効まであと8カ月という短い期間で、ADRへの申し立てや訴訟の手続きをしなければならないことになれば、大混乱になる。そもそも、加害者側である東電が、被害者を選定するのはおかしな話しであって、被害者同士の分断につながりかねない」


 と、強い懸念を表していました。








<東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の時効期間を延長する特別措置法の制定を求める意見書>


 今もなお、汚染水は大量に海に漏れ続け、原発事故は収束どころか、悪化の一途をたどっているようにすら感じます。

 先の見えない生活の中で、被害者はなんの補償も受けられず、疲れ切っています。
先進国とは思えないほどの人権侵害が進行中なのです。

 私たちは、この状況を共有し、一日も早く被害者が救済されるよう、大きなムーヴメントを起こす必要があるのではないでしょうか。

 ママレボ@和田秀子












ママレボ6号(10月発刊号)のイベント情報を募集します!


2013年10月~12月初旬までに開催されるイベント、講演会、上映会などの情報をお寄せください。 

件名を「6号・イベントカレンダー」と記入していただき、

【イベントタイトル】
【日時】
【会場】
【参加費】
【内容】(50文字程度)
【申込/問合せ】
【主催】

を、 info.momsrevo@gmail.com までお送りください。

このままコピーペーストして掲載させていただきますので、項目をご確認のうえ、ご記入ください。どうぞよろしくお願いいたします。

みなさまからのイベント情報、お待ちしております!!

2013年8月23日金曜日

「ママレボ編集長通信No5」「健やかに育つ権利」を奪われた福島の子どもたち ~外遊びに関するアンケート結果から見えてきたこと~

~「ママレボ編集長通信」について~

「ママレボ編集長通信」は、このブログだけでなく、PDF版でも発信しています。


なぜPDF版を作成しているかというと、「インターネットを見ない方」にも、プリントアウトして配付していただけたら……と考えているからです。
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「ママレボ編集長通信N5」のブログ版は下記でもお読みいただけます



 子どもが健やかに育つために欠かせない「外遊び」。
しかし今、そんな子どもの当たり前の権利が脅かされています。
 
福島第一原子力発電所の事故により、たくさんの放射性物質が降り注いだ福島県では、震災から2年半たった現在でも、子どもの外遊びを控えている保護者が多いことが「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクトin郡山」のアンケート調査で浮き彫りになりました。

 政府による保養プログラムの確立と、避難、移住も含めた幅広い選択肢の提示が急がれます。


■外遊び時間が大幅に減少

 今回実施したアンケートは、福島県内在住または県外自主避難者のうち、1歳~小学校に入学するまでの「幼児」を持つ保護者、または満6歳~12歳までの「学齢児童」を持つ保護者が対象です。

 調査人数は、福島県内在住者104人(幼児67人/学齢児童37人)福島県外自主避難者39人(幼児19人/学齢児童20人)。



 福島県内在住者に比べて、県外自主避難者の調査数が少ないため、県外自主避難者の統計結果は、あくまでも参考値程度に見る必要がありそうです。 

 しかし一方で、福島県内在住の「幼児」および「学童児童」の「外遊び時間」が大きく減少していることは、統計的にはっきり見てとれます。

 福島県内在住で、幼児を持つ保護者の85%、学齢児童を持つ保護者では70%が、震災以降、外遊びの時間が「⑤減った」と回答。「④どちらかと言えば減った」という回答と合わせると、実に90%を超えています。






 また、「一緒に遊ぶ人数の変化」に関する調査結果を見ると、福島県内在住で幼児および学齢児童を持つ保護者のうち、「②1対1(2人)で遊ぶことが多くなった」「③1人で遊ぶことが多くなった」と回答した人が、いずれも60%を超えています。



 これは、外遊びの時間が減ったことで、複数の友だちと遊ぶ機会がなくなり、代わりに自宅で親や兄弟などと遊ぶ時間がふえたことを示しています。

 実際に、「外遊びの時間が減った」と回答した佐藤あきさん(郡山市在住・仮名)は、震災当時生後一カ月だった娘に、ほとんど外遊びをさせていません。
 
 「はじめて地面を歩かせたのは、娘が一歳2カ月になったころ。郡山を離れて、新潟へ保養に連れて行ったときのことです。娘は体いっぱいに風を受けて、とても気持ち良さそうに深呼吸しました。あのときのうれしそうな表情が忘れられません」 

 佐藤さんは、今でも子どもに外遊びを控えさせているため、「他の子どもに比べて体力がないのでは」「歩き方がぎこちない」等の気になる点があると言います。

 「とくに女の子は、放射線の影響を受けやすいそうなので心配です。できれば避難したい。
 広島・長崎で原爆の被害に合われた方も、その後結婚差別などに苦しんだと聞きます。
すでに、『福島の人同士でないと結婚できない』と言っている人もいます。娘には、好きな人と結婚させてあげたい。だから移住して、娘から“福島”というレッテルをはがしてやりたいんです」
(佐藤さん)


■自主避難しても、地域から「孤立」するケースも

 一方、県外へ自主避難している保護者の場合はどうでしょうか。

幼児の外遊び時間については、「①増えた」「②どちらかと言えば増えた」という回答が過半数近く占める一方で、学齢児童の場合は、「④どちらかと言えば減った」「⑤減った」などの回答が40%にのぼるなど二極化する傾向にあります。

 県外に自主避難しているにもかかわらず、「外遊び時間が減った」要因は何なのか。

アンケートの自由記載欄に寄せられた「保護者の声」(ページ末参照)から読み取れるのは、「新しい環境で友だちができず、家の中で過ごす時間がふえる」という状況があるということです。

 震災直後に福島市から東京都に家族で移住した岡田めぐみさんは、「都心に避難している母子は、誰ともつながれず孤立しているケースが多い」と指摘しています。

 とくに、就学前の幼児がいる場合は、「仕事をしていないと保育園に預けられない」ため、同年齢の子どもたちと遊ばせることもできず、結局は母子で引きこもってしまう傾向にあります。県外に自主避難した子どもたちが、思い切り「外遊び」できるか否かは、受け入れ側の自治体の働きかけや、地域住民とのつながりの有無によるところが大きいと言えそうです。
 

■移住の継続的な支援も

 外遊びに不安を抱える保護者や子どものために、福島県内には昨年一年間で57カ所の屋内遊戯施設が建設されました。

 中日新聞の報道によると、福島県はこれら屋内施設の建設費用として平成24年度に総額4億4千万円、平成25年度に3億円を補助しています。

 また、復興庁も、平成25年度の予算から『子ども元気復活交付金(福島定住緊急支援交付金(仮称))』と銘打って100億円を投じています。

 “福島定住緊急支援交付金”という仮称からもわかるように、福島県も政府も、福島県からの人口流出を防ぐために必死で、できるだけ県外避難者を帰還させたいのです。

 前出の佐藤さんは言います。

。「福島に住んでいるかぎり、日々の生活の中で花や虫を触ったり、土遊びさせたりはできません。
なので屋内施設は必要ですが、休日は満員で入れませんし、いったいどれくらい外遊びの経験を補えるのかは疑問です。屋内施設の建設だけじゃなく、原発子ども・被災者支援法に基づいた保養や移住の支援もしてほしいですね」 

 一部の専門家からは、子どもに外遊びを控えさせている親に対して、「気にしすぎだ」とか、「かえって子どもの発育によくない」 といった批判の声も聞こえてきます。

 しかし本来、一般人の年間追加被ばく量は1ミリシーベルト以内ですし、放射線に「しきい値」はなく、浴びれば浴びるほどリスクが高まるということは国際的にも周知されている事実です。

 この原理原則を踏まえたうえで、「健やかに育つ権利」を奪われている福島の子どもたちの現状に目を向けてほしい。そのうえで、政府による保養や移住政策などの実現を強く望みます。

                                   ママレボ編集長 和田 秀子



※ 詳細なアンケート結果は、「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」のブログにて公開しています。





















2013年8月10日土曜日

月刊ジャーナリズムの編集長インタビューで、ご紹介いただきました

 「月刊ジャーナリズム」(朝日新聞社)という雑誌の編集長インタビューで、ママレボ編集長の和田秀子をご紹介いただきました。

 ママレボができた経緯や、ママレボに込められた思い、そして、共に制作しているメンバーについても話しています。

 この「月刊ジャーナリズム」は、大変骨太な内容で、現在のジャーナリズムの在り方、メディアリテラシーなどについて、さまざまな角度から掘り下げています。


 普段私はインタビューをさせていだく立場なのですが、逆にインタビューをしていただき大変勉強になりました。

 良かったら、ご一読いただけますと幸いです。













2013年8月8日木曜日

「ママレボ編集長通信No4」~こどもみらい測定所の石丸さんに聞く~『放射線見える化プロジェト』 クラウドファウンディングで 100 万円集めて、地域の放射線を可視化しよう!

「ママレボ編集長通信No4」
(このブログ「ママレボ通信」と差別化をするために、「ママレボ編集長通信」に名称変更しました


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「ママレボ編集長通信N4」のブログ版は下記でもお読みいただけます

「ママレボ編集長通信No4」~こどもみらい測定所の石丸さんに聞く~『放射線見える化プロジェト』 クラウドファウンディングで 100 万円集めて、地域の放射線を可視化しよう!


 食品や土壌の放射線量を測る市民測定所として、2011年12月の開所以来、多くの測定を行ってきた「こどもみらい測定所」。(東京都国分寺市)。

 同所がこの度、『放射線見える化プロジェクト』を立ち上げ、現在、一般のみなさまからサポーターを募っています。

 『放射能見える化プロジェクト』とは、どういった内容なのでしょうか。こどもみらい測定所、所長の石丸偉丈さんに、お話しをうかがいました。


           (こどもみらい測定所 所長 石丸 偉丈さん)

■まず、測って「知る」ことから始める
Q:放射線をどうやって「可視化」するのですか?
石丸:「ホットスポットファインダー」という、高性能な空間線量計があるのですが、これで空間線量を測ると、自動的にGoogle 
EarthやGoogleマップに各地の放射線値が落とし込めます。



 上記のマップは、以前、日比谷公園(東京都千代田区)を歩いて計測したときのもの。地域の放射線量が一目でわかるでしょう?
 このホットスポットファインダーを使って、東京都内や千葉、神奈川、福島などの東北地方まで、みなさんから依頼があった場所を中心に計測し、放射線を「見える化」していこう、というのがこのプロジェクトの目的です。

 放射線って、見えないし、におわない。だからこうやって見える化することで「こういう場所はホットスポットになりやすい」という傾向がわかれば、むだな被ばくを防ぐことができます。
 それに、イメージだけで「この地域は放射線量が高い、低い」と言うのではなく、きちんとした数値を知ることは大事です。その数値を「高い」ととらえるか「低い」ととらえるかは人それぞれですが、まず事実を知ったうえで議論しましょうよ、と。

 また、震災以降ずっと福島の放射線量を計測している木村真
三さんもおっしゃっていましたが、「今のうちに計測しておかないと、国は必ず隠ぺいする」と。
 放射線量の高い地域は、今後、健康被害が出てくるかもしれないし、出てこないかもしれない。それはわかりませんが、万が一のときにうやむやにされないようにデータをとっておくことは重要だと思っています。
「知る」ことで、住民の方々にも、ベターな選択がしていただけるのではないでしょうか。 


■「精度」「速さ」「マッピング」3大要素がそろった
Q:ホットスポットファインダーの性能は?

石丸:精度は日本一と言えます。というのも、ホットスポットファインダーを製造しているポニー工業という会社は、市販されている多くの線量計を “校正” する資格を持った会社だからです。

 つまり、Aというメーカーの線量計が正しい値を示しているか否かを確かめて、値がずれていたら修正する仕事を請け負っています。これができるのは、国内の民間会社でポニー工業を含めて2社しかありません。

 ホットスポットファインダーの優れている点は3つあります。
ひとつめは、「精度」。ふたつめは、「自動マップ化できる」ということ。そして3つめは、計測の「速さ」です。3つそろっている計測器はなかなかないので、とても貴重です。

 他のメーカーのものでも、測定速度が速いものや自動マップ化してくれるものはありますが、精度が甘いものが多い。とくに放射線量が低めの地域では、数値を過大評価するものが多いです。

 また、精度はよくても、速度が遅い線量計だと手間がかかります。地域一帯の放射線量を素早く、かつきめ細かく調べるためには、計測の反応速度が速く、かつ精度が高いものでないと。そして、計測値をすぐにマップ化できること。この3つの機能を兼ね備えているのがホットスポットファインダーなんです。
 この測定器なら、自転車に乗せて地域を一周するだけで、すぐにくまなく放射線量がマッピングできます。もちろん自動車で計測してもかまいませんが、車中で計測すると、いくらか放射線量が低くなります。
 実はこの機械、福島県のある自治体も購入して、地域を計測しています。それくらい性能が良いので、役所など公の機関に提出するデータとしても、活用していただけますよ。


■目標額まで、あと半分!?
Q:ホットスポットファインダーの価格は高いんですよね?

石丸:そうなんですよ! 実は130万円します。また出費がふえるのかと考えると、最初は購入をためらいました。食品の測定器を購入したときも、苦労しましたから……。(笑) でも、この測定器があれば、あらゆる場所の放射線量を見える化できます。
 測定所のメンバーと話しあった結果、「私たちみんなにとって必要なものだ」ということになったんです。それで、みなさんにサポーターになっていただきながら、クラウドファウンディングというシステムでホットスポットファインダーを購入するための資金100万円を集めることにしました。

Q:もし、応募しめきりの2013年8月25日までに目標の100万円が集まらなければ、どうなるんですか?

石丸:1円もいただけません……。現在、563,000円集まっていますから(8月7日現在)なんとか8月25日までに、みなさんにご参加いただいて100万円を集めないと!


■サポーターになって、街中の放射線を見える化しよう
Q:サポーターになると、希望の場所を計測してもらえるそうですね。

石丸:エントリーされるコースにもよりますが、基本的にサポーターになっていただいた方のご希望の場所を計測します。
 現在は、千葉県柏市や、東京都葛飾区にある水元公園などを計測してほしいという希望があがっていますね。あとは、それぞれがお住まいの地域。「子どもの通学路や日ごろ遊んでいるエリアを測ってほしい」という声が多い。また、福島から東京に避難されている方から、「福島の実家を測ってほしい」という依頼もありました。

 ホットスポットファインダーには、GPS機能の他に「エリアレコーダー」という機能も搭載されているので、タブレットPCにウェブカメラを接続して移動すると、下記の写真のように空間線量を記録できます。ご自宅の庭や玄関先、通学路や公園の遊具周辺など、どこにホットスポットがあるかを確認するためには大変便利です。



 これまで、東京都世田谷区や杉並区、栃木県日光市、福島県郡山市などをテスト計測しましたが、ホットスポットだけでなく、「ここは思っていたより低かった」という場所など、 「クールスポットも発見できてよかった」という声もありました。

 サポーターになっていただいて、計測のときに私たちといっしょに測りに来ていただけると、「こういう場所は放射能が集まりやすい」という傾向も分かってきますよ。
 どんどんサポーターを広げていって、首都圏を中心に街中の放射線を「見える化」していけたらいいなと思っています。計測したデーターは、ご依頼いただいたサポーターのみなさんにお渡しし、個人宅は応相談ですが、こどもみらい測定所のウェブページ等でも公開していく予定です。

            (ホットスポットファインダーで測定する石丸さん。)


■「できること」をやっていく
Q:最後に、メッセージをお願いします。

石丸:福島県では、すでに子どもの甲状腺ガンが12名、悪性疑いが15名も出ていると聞いています。これまで子どもの甲状腺ガンは、100万人にひとりかふたりというめずらしい病気であったことを考えると、今後がとても心配です。あまりにも解決しなければならない課題が多すぎて、どこから手を付けたらよいのか……、と考え込んでしまうこともありますが、自分たちひとり一人が「できること」をやっていくしかないんですよね。
 ひとりの力は小さくても、点が集まれば線になり、やがて面になる。こんなひどい事故が起きてしまったのだから、もう二度と同じ過ちを繰り返さないように、この『この放射線見える化プロジェクト』の活動を通しても、訴えていきたいと思っています。
 みなさんのご協力を得て、ぜひ実現させたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!


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『放射線見える化プロジェクト』サポーターエントリー方法

(1)クラウドファウンディング「shootingstar元気玉」に掲載されている『放射能見える化プロジェクト』ウェブページにアクセス。http://shootingstar.jp/projects/134

(2)上記ページには、サポーターとしてご協力をお願いしたい具体的な内容が「ギフト」という名称で6種類アップされています。サポーターとしてのエントリー価格は3,000円~300,000万円までございますので、ご希望のものをお選びください。 

プロジェクト〆切の2013年8月25日までに目標金額100万円に到達すると、このプロジェクトが実行されます。

また、下記ゆうちょ銀行への寄付も受け付けております。
  
<寄付口座のご案内>
■郵便振替: 00130-6-473116
■銀行口座:
 銀行名 ゆうちょ銀行(金融機関コード 9900)
 店名 〇一九 店(ゼロイチキユウ店)
 口座番号 0473116
 預金種目  当座


こどもみらい測定所

*************************

この「ホットスポットファインダー」を借りて、以前、ママレボ編集部でも郡山を測定させていただきました。
そのときのレポートが下記よりお読みいただけます。

郡山測定レポート
http://momsrevo.blogspot.jp/2013/05/blog-post.html

2013年8月3日土曜日

「原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟」が発足!全国から実現にむけて声をあげよう

 以前、ママレボ通信No2で、復興庁の水野前参事官のTwitter暴言問題についてご紹介しました。

 (まだお読みになっていない方は、下記より記事をお読みください。(^_^;) )

「ママレボ通信No2」 水野参事官のTwitter暴言は、原発被災者に対する復興庁や政府の態度そのものが現れている


 
 これを受け、「このままでは、支援法が完全に骨抜きにされてしまう」

と、危機感を募らせた各自治体の議員や市民たち約140名が8月2日、参議院議員会館に集まり、『原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟』を発足させました。

 すでに、全国約380名の地方議員が、これに参加しているそうです。

               (写真は、NHKのニュース記事から流用)

 

■全国の地方議員から政府へ、支援法の早期実現を要望

 この自治体議員連盟発足のねらいは、全国から

「すでに成立している原発事故子ども・被災者支援法を早期に実施してください」
「原発事故で被害を受けている人たちの救済を一日も早く実行してください」

と、政府へ要望していくためです。

 自治体議員連盟の共同代表を務める、いわき市議の佐藤かずよし氏は、

「地方議員たちが連携をとりながら、支援法の拡充・推進を求める意見書の採択や、具体的施策実現を求める全国請願署名運動の推進等を行いたい。
 市民団体とも連携して、支援法の早期実現を求める大きな流れをつくっていきましょう」

 と意見を表明しました。


 要望書に関しては、下記のマップに記されてあるように、すでに提出し可決されている自治体もありますが、これを全国的に広めていくことが喫緊の課題です。

 

 (2013年7月12日現在)

 

■無用な被ばくから子どもを守る権利を認めている法律

 福島県では、いまだ約15万人の方が県外で避難生活を余儀なくされています。
 警戒区域外から避難している、いわゆる「自主避難」と呼ばれる人たちは、なんの生活の補償もなく、かろうじて災害救助法に基づいて実施されている借り上げ住宅を与えられているだけです。

 さまざまな事情があって福島に残って生活をしている人たちも、子どもを外で遊ばせられなかったり、除染をしたりと、事故がなければ気にしなくてよかったことを心配しながら生活をしています。

 一方で、
 「でも、福島はもうだいじょうぶなんじゃないの?」
 「国が安全って、言ってるのに心配し過ぎてるんじゃないの?」

 という声もあります。

 しかし、放射能が人体に及ぼす影響には、「個体差」があり、専門家の間でも意見が分かれているのです。しかも、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたベラルーシやウクライナでは、小児甲状腺ガンや白血病の増加だけでなく、子どもの心臓疾患や高血圧、糖尿病といった病気もふえ、健康な子どもの割合のほうが少なくなっているのです。

 こうした事例を鑑み、この「原発事故子ども・被災者支援法」では、「放射線が人体に及ぼす影響はわからないのだから、予防原則にのっとって、とくに子どもには配慮せよ」といった内容が謳われています。

  現に原発事故前は、一般人の追加被ばく線量は年間1ミリシーベルト以内だったのですから、それを大幅に超えてしまった現状において、「心配しすぎ」だということは、ナンセンスでしょう。

 避難する人、現地にとどまる人、避難先から帰還する人――。
 すべての人の選択権を認め、無用な被ばくから身を守る権利があることを、この法律は謳っているのです。

 もちろん、放射能汚染されてしまったのは、福島県だけではありません。
 いまだに、「汚染環境重点調査地域」に指定されている市町村が、東北や関東を中心に100あまり存在します。
 これらすべてを、この「原発事故子ども・被災者支援法」の支援対象地域に指定する必要があります。

 
 
■原発事故子ども・被災者支援法を広めていこう

 しかし、残念ながら「原発事故子ども・被災者支援法」は、一般的に知られていません。
 もしよかったら、試しに近所の人や、ママ友、会社の同僚などに、「こんな法律があるって知ってた?」と聞いてみてください。

 おそらく、「知らない」という答えがかえってくると思います。

 なぜ、周知されていないか?
 それは、法律ができてから今年の6月で一年経ったにもかかわらず、これまでメディアがまともに取り上げたことがなかったからです。
 (取り上げていたのは東京新聞や毎日新聞くらいです)

 なぜ、マスコミは積極的に取り上げなかったのでしょうか。

 すでにご存じの方も多いかもしれませんが、8月2日付けの毎日新聞朝刊で、下記のような記事が掲載されていました。


この記事のなかには、
「子ども・被災者生活支援法」を巡り、同法を所管する復興庁が3月、具体的な支援策作りの大前提となる「線量基準」の検討をどこが主導するか曖昧にしたまま、7月の参院選後に先送りすることで関係省庁と合意していたことが国の関係者の証言で分かった。」

 と書かれています。

 つまり、支援法が進んでいなかったのは、水野前参事官だけの責任ではなく、政府がサボタージュしていたことが原因だったと実証されたわけです。

 もしかすると、政府が支援法の推進をサボタージュしていたことと、メディアが積極的に支援法を報じなかったことは何か関係があるのかもしれませんね。

 参院選も終わったことだし、そろそろ政府は本腰でこの問題に取り組み、そしてメディアは報じてくれるのでしょうか……。

 そうそうこの日は、山本太郎参議院議員が初登院する日だったので、議員連盟の発足会にも顔を出しておられました。

 残念ながら、支援法を推進してこられた谷岡郁子議員は落選してしまいましたが、山本太郎さんという力強い味方を得たことが、せめてもの救いです。

 みんなで力を合わせて「原発事故子ども・被災者支援法」を全国に知らしめ、早期実現を目指していきましょう。


ママレボ@和田秀子

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