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2013年11月6日水曜日

福島での甲状腺エコー検査~自己情報開示請求のススメ ~

 <自己情報開示請求の簡素化されました>2013年11月13日追記

詳しくは、下記をご覧ください。http://fukushima-mimamori.jp/thyroid-examination/data-request/



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 福島県では現在、原発事故による放射線の健康影響を調べるために、「県民健康管理調査」が行われており、
事故当時18歳以下だった子どもには、「甲状腺エコー検査」が実施されています。

しかし、検査結果の報告はおそまつで、のう胞や結節の有無や、その大きさによって「A1」や「A2」「B」などと書かれた判定結果が一枚送られてくるだけで、肝心のエコー画像は本人に返却されません。

そこで、保護者の間では「自己開示請求」によって子どものエコー画像を手に入れる動きが広まっています。

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■ 手間はかかるが、メリットも大きい
 「自己情報開示請求」とは、県の条例によって保護されている個人情報であっても、自分自身に関するものであれば、開示を求めることができるという制度です。

 原発事故当時中学2年生だった息子を持つ山内和子さん(仮名・郡山市在住)は今年2月、甲状腺エコー検査画像を開示してもらえるよう、息子に代わって福島県に「自己情報開示請求」を行いました。

 「息子は201212月に甲状腺エコー検査を受けたのですが、結果はA2判定でした。 
県の検査はいい加減だという話しも聞いていましたから、エコー画像を手に入れて、証拠を残しておく必要があると思ったんです」

 自己情報開示請求の手続きは非常に面倒だったそうですが、

「請求をすると、福島県立医大の専門医たちが、もう一度エコー画像を確認してくれるそうなので安心です」

と山内さんは言います。
 「もう一度エコー画像を確認してくれる」とは、どういうことでしょうか――。

■ 手間はかかるが、メリットも大きい
 ことし9月に岩波新書から出版された「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」(著者:日野行介)には、次のように書かれています。

「一次検査の判定結果は、検査に当たった医師や技師本人だけで決めるものではなく、鈴木教授ら専門家が毎週一回集まり、判定委員会を開いて最終決定している。(中略)しかし、一回の判定委員会で見るのは、結節が見つかった症例を中心に「A2」か「B」か判定を迷うものが大半で、県立医大の事務職員によると、『大体100件ぐらい』という(その後、同大広報に改めて問い合わせたところ、『一回300から400件』と修正する回答が寄せられた)」

 ここに記されている“鈴木教授”というのは、現在、検査の実施主体となっている福島県立医科大学で甲状腺検査の責任者を務めている甲状腺専門医です。

 つまり、一時検査を受ける子どもの人数が多いため、全員の画像を判定委員会でチェックすることはできないが、二次検査が必要かどうかを決めるむずかしい症例のみ、責任者である鈴木教授を含む判定委員会で確認しているということです。






 本書では、さらに次のように続きます。

「だが、2012731日にあった第44回専門委員会では、開示請求を受けた症例は必ずすべてを判定委員会でチェックする方針を決めた。判定結果を既に通知している場合は再チェック、通知前であれば前倒しして判定を行う」
 
 要するに、前出の山内さんの言葉どおり、自己情報開示請求を行うことによって、判定委員会で“二重チェック”が受けられる、ということです。

また、まだ判定結果が送られてきていない場合でも、自己情報開示請求を行うことで、よりていねいに確認してもらえる可能性が出てきます。

 なぜ、自己情報開示請求をした人に対しては、このような判定結果の二重チェックが行われるのでしょうか。

 本書の中で著者の日野氏は、「開示された検査画像について外部の医師から判定結果に疑いが投げかけられた場合、反論できるように準備しておくという趣旨だとみられる。」
と分析しています。

 福島県が実施している甲状腺エコー検査に関しては、「判定の精度が不十分ではないか」とか、「セカンドオピニオンを受けたら判定がちがっていた」などという声もあがっているので、県立医大も慎重になっているのでしょう。


■レポートには、判定員会の印が
自己開示情報請求の結果、山内さん宛に送られてきた「甲状腺超音波レポート」の最下段をみると、「福島県立医科大学 判定委員会 25.326の印が押してありました。(赤カッコの部分)

「甲状腺超音波レポート」
(クリックすると拡大します)
「甲状腺超音波レポート」の最終段に
捺印されている印を拡大した。
「福島県立医科大学 判定委員会」と書かれている









  
 





 
 山内さんが事故情報開示請求を行ったのは、今年2月。印の日付は25.326となっていますから、山内さんが自己情報開示請求をしたことを受けて、再度「判定委員会」の医師たちがエコー画像をチェックし、「甲状腺超音波レポート」を作成したことが裏付けられます。


■ 自己情報開示請求の手順
  「まだ自己情報開示請求をしていない方や、これから県の甲状腺エコー検査を受ける方は、面倒でも請求をしてほしい」と山内さんは言います。

  本来、我が子の検査画像を手に入れるために、「自己情報開示請求」を行なわなければならないこと自体がおかしいのですから、開示請求する人数がもっとふえれば、手続きも簡略化されるかもしれません。

 そこで、次に「自己情報開示請求」の手順についてご紹介したいと思います。


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■自己情報開示請求の手順
1)まず、福島県のホームページから「自己情報の開示請求書」をダウンロードします
 (福島県のホームページ > 文書管財総室 > 情報公開・個人情報保護 > 各種請求様式)


(2) 開示請求書に以下のように書き込みます。


開示請求記入例(クリックで拡大します)
資料提供:武本泰さん


※未成年者であるお子さんに代わって、法定代理人(親権者等)が開示請求できますが、ご本人の身分証明書(運転免許書/パスポート)以外に、法定代理人の資格を証明する書類(戸籍抄本等)が必要です。

(3) 「自己情報の開示請求書」への記載がすんだら、開示請求者(法定代理人)の身分証明書のコピーと、未成年者との関係を示す戸籍抄本を同封し、下記住所まで郵送します。後日、県庁から開示請求確認の電話があります。


<個人情報の請求窓口>
県政情報センター
960-8670 福島県福島市杉妻町2-16
電話:024-521-7083


(4) 約2週間程度で「自己情報一部開示通知書」「公文書等の写しの交付申請書」が送付されてきます。
「自己情報一部開示通知書」に記されている書類の名前と枚数を「公文書等の写しの交付申請書」に転記し、金額を記載します。(写し1枚につき10円)

「自己情報一部開示通知書」
(クリックで拡大します)
「公文書等の写しの交付書類」
(クリックで拡大します)



(5) 「公文書等の写しの交付申請書」に記入できたら、下記住所に郵送します。

「公文書等写しの交付申請書」の送付先>
公立大学法人福島県立医科大学 総務課大学管理係
960-1295 福島県福島市光が丘1番地
電話:024-521-7083


(6) 先方が「公文書等の写しの交付申請書」を受理後、写しのコピー代と郵送料を納めるための請求書が送付されてきますので、支払います。(手数料はこちらが負担)


(7)後日、甲状腺エコー検査画像やレポートなどの公文書の写しが郵送されてきます。


ちなみに、山内さんが自己情報開示請求にかかった費用は以下の通りです。

・甲状腺検査のエコー画像6枚+レポートが1枚の写しにかかる費用 70円(10円@1枚)
・郵送料                                     120
・上記を送付するための現金書留料                    510

                                 合計      690


(山内さんの場合は、コピー代や郵送料を現金書留で送ってしまったので費用が高くなりましたが、口座振り込みにするともう少し安くなります。)

以上

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 検査を受けた子どもたちのお母さんたちが、どんどん「自己情報開示請求」するようになると、福島県立医科大学も、よりていねいな検査をしてくれるようになるかもしれません。まだお済みでない方は、ぜひこの機会に「自己情報開示請求」をしてみましょう。


(ママレボ編集チーム@和田秀子)

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