「原発子ども・被災者支援法」の基本方針案についての説明会が、復興庁の主催により9月13日東京のTOC 有明コンベンションホールで開催されました。
これに先だって9月11日に福島県で開かれた説明会では、「基本方針案の撤回」を求める声が相次いだことを受け、この日は冒頭に「基本方針案に必要な修正を加える用意はあるが、原案を撤回する考えはありません」と浜田復興副大臣が述べるなど、波乱含みのスタートとなりました。
説明会でのポイントをご紹介するとともに、一般参加者から出た主な質問と、その回答を以下にまとめます。
これに先だって9月11日に福島県で開かれた説明会では、「基本方針案の撤回」を求める声が相次いだことを受け、この日は冒頭に「基本方針案に必要な修正を加える用意はあるが、原案を撤回する考えはありません」と浜田復興副大臣が述べるなど、波乱含みのスタートとなりました。
説明会でのポイントをご紹介するとともに、一般参加者から出た主な質問と、その回答を以下にまとめます。
■支援対象地域の33市町村は「自主避難者の数」で決められた
原発子ども・被災者支援法の中には、「一定の基準以上の放射線量が計測される地域」という記述がありますが、「一定の基準とは年間被ばく量何ミリシーベルト」を指すのか明確に示されていません。(法律の前文はこちら)
以前から、被災当事者や支援団体からは、事故前に定められていた「一般人の年間被ばく量1ミリシーベルト」を超える地域を支援対象としてほしい、という要望があがっていました。
しかし、発表された基本方針案を見てみると、明確な年間被ばく線量によって33市町村の対象地域が決められたわけでなく、また準支援対象地域の指定もあいまいだったため、11日に福島県で開かれた説明会では、参加者からその根拠を求める質問が多くあがりました。
以前から、被災当事者や支援団体からは、事故前に定められていた「一般人の年間被ばく量1ミリシーベルト」を超える地域を支援対象としてほしい、という要望があがっていました。
しかし、発表された基本方針案を見てみると、明確な年間被ばく線量によって33市町村の対象地域が決められたわけでなく、また準支援対象地域の指定もあいまいだったため、11日に福島県で開かれた説明会では、参加者からその根拠を求める質問が多くあがりました。
これについて復興庁からは、「法案の国会審議の場において、法案提出者から『国が一方的に線を引くことでコミュニティを分断してはならない。地域の実情に合わせて支援対象地域を決めなければ、また人々を引き裂いてしまう』という意見がっていたので、必ずしも立法時に、線量だけで支援対象地域が定められるとは想定されていたとは言えない」との理由から、“地域の実情”に合わせて支援対象地域を設定することにしたとの説明がありました。
では、“地域の実情”を何で測ったかというと、その地域における「自主避難者の数」を指標にしたということでした。
復興省の説明によると、「自主避難というのは、避難せざるをえないくらい不安を感じているということ。自主避難したくてもできない方が潜在的にだいぶおられるんじゃないか」ということで、それをデータとして集めたところ福島県中通り、浜通からの避難者の方が全体の9割を占めていたため、この地域を支援対象地域にしたということです。
さらに浜田復興副大臣からも、
「(被ばくの)しきい値はないということは分かっているが、国際的に有力な説としては20ミリシーベルト以下の被ばくによる健康影響は、他の影響に隠れてしまう程度だ。よって、画一的な線量による線引きはむずかしい」
という趣旨の発言があり、会場の参加者からは、「法律で一般人の被ばく線量は年間1ミリシーベルトと決まっているはずだ」「チェルノブイリでは健康被害が出ている」「福島県民や自主避難者の声も聞かずに避難者の数だけで決めてしまうのはおかしい」といった批判の声があいつぎました。
では、“地域の実情”を何で測ったかというと、その地域における「自主避難者の数」を指標にしたということでした。
復興省の説明によると、「自主避難というのは、避難せざるをえないくらい不安を感じているということ。自主避難したくてもできない方が潜在的にだいぶおられるんじゃないか」ということで、それをデータとして集めたところ福島県中通り、浜通からの避難者の方が全体の9割を占めていたため、この地域を支援対象地域にしたということです。
さらに浜田復興副大臣からも、
「(被ばくの)しきい値はないということは分かっているが、国際的に有力な説としては20ミリシーベルト以下の被ばくによる健康影響は、他の影響に隠れてしまう程度だ。よって、画一的な線量による線引きはむずかしい」
という趣旨の発言があり、会場の参加者からは、「法律で一般人の被ばく線量は年間1ミリシーベルトと決まっているはずだ」「チェルノブイリでは健康被害が出ている」「福島県民や自主避難者の声も聞かずに避難者の数だけで決めてしまうのはおかしい」といった批判の声があいつぎました。
■チェルノブイリ法とはちがう、と明言
さらに子ども連れの若い母親からは、「支援法のお手本となったチェルノブイリ法では、年間被ばく量が5ミリシーベルト以上は強制避難の地域。5~1ミリシーベルトの地域は移住の権利がある地域とうかがった。日本ではその地域に、小さな子どもを抱えて不安の中暮らしている方がいる。『わずか何%の子どもしかガンにならないから大丈夫』と偉い人から言われても安心できない。まず自分たちの子どもひとりひとりをちゃんと診てほしい」という声がりました。
これに対し浜田復興副大臣からは、「チェルノブイリ法と支援法はまったくちがうので、同じようにはできないが、健康不安への対応については、支援対象地域だけでなく法律の枠組みの中で健康調査や線量把握などをしっかりやっていく」と近隣の放射線量が高い地域の住民に対しても施策を考えていることを示唆する発言がありました。
つまり日本では、現在、政府が設定している「年間被ばく20ミリシーベルト基準」は変えられないが、「年間1ミリシーベル以上かそれ以下の地域でも、状況によっては、医療費減免をはじめ地域のニーズに応じて必要な施策を講じる用意がある」ということなのでしょうか。
これに関して、参加者からは、「一般人の年間被ばく量は1ミリシーベルトと法律で決まっているのに、法律違反ではないか」という発言が出ましたが、浜田副大臣は、
「ICRPの勧告によって、原子力発電所等の管理を厳重にするために、平常時においては自然環境における被ばく線量と同程度におさえるという観点から、年間1ミリシーベルトと定められているのは事実だが、決して健康の観点から決められた数字ではありません」
と、あいまいな説明に終始しました。
これに関して、参加者からは、「一般人の年間被ばく量は1ミリシーベルトと法律で決まっているのに、法律違反ではないか」という発言が出ましたが、浜田副大臣は、
「ICRPの勧告によって、原子力発電所等の管理を厳重にするために、平常時においては自然環境における被ばく線量と同程度におさえるという観点から、年間1ミリシーベルトと定められているのは事実だが、決して健康の観点から決められた数字ではありません」
と、あいまいな説明に終始しました。
しかし、健康の側面から決められた数字であろうがなかろうが、法律によって「年間1ミリシーベルト」と定められているのは事実であって、事故から2年半経過した現在でも、緊急時の20ミリシーベルトが適応されつづけるのかは、大変疑問です。
また、現在の基本方針案の中には、栃木、群馬、千葉などのホットスポットは支援対象地域にも含まれておらず、準支援対象地域に指定されるのかどうかも不明確。
強い要望が上がっていた健康調査等や医療費の減免についてもいまだ見通しがたっていません。
また、現在の基本方針案の中には、栃木、群馬、千葉などのホットスポットは支援対象地域にも含まれておらず、準支援対象地域に指定されるのかどうかも不明確。
強い要望が上がっていた健康調査等や医療費の減免についてもいまだ見通しがたっていません。
参加者からは、「1年以上たっているのに、いつまで検討を重ねるつもりか」という批判がり、浜田復興副大臣は重ねて、「年間被ばく量1ミリシーベルトを超える地域にお住まいの方々が健康不安を抱いていることは十分承知している。医療費減免や健康調査も含め、検討委員会を設置してデータに基づいて検討したい」と繰り返しました。
■新規住宅の支援に関しては可能性を示唆
唯一、少し希望が見えたのは、これから新たに避難する人に対する「住宅の支援」です。
この支援法の肝は、「避難する人も、とどまる人も、帰還する人もすべて必要な支援が受けられる」という点であるにもかかわらず、新規借り上げ住宅の支援は昨年末に打ち切られたきり。この基本方針案の中でも「これから避難したい人」に対する施策が何一つ盛り込まれていません。
会場から「新規避難者への住宅支援を再開してほしい」「以前として根強いニーズがあるのだから」という声が相次いであがり、浜田副大臣はこれまでの経緯を以下のように述べました。
「福島県から現状ではOKをもらえていません。福島県と引き続き協議をしなければ、今の段階では盛り込めない状況です。県としてはやはり帰ってきてほしいという思いがあるのでしょう。今回は合意はとれませんでしたけども、少し預からせていただいて引き続き福島県と話しを続けたいと思います」
しかし、復興副大臣が説明会の場で「少し預からせていただいて引き続き福島県と話し合う」という発言をしたことは非常に大きく、ぜひ新規借り上げ住宅の支援再開にむけて期待をしたいと思います。
■公聴会の開催には後ろ向き
このように、一部希望が持てる内容もなくはありませんでしたが、全体を通して見てみると、やはり「被災者の思いに寄り添う」という内容にはほど遠いものでした。
復興庁のそうした姿勢が顕著に表れていたのが、「公聴会の開催」についてです。
これまで何度も、被災者や支援団体が「全国で公聴会を開催し、直接声を聞いてほしい」という要望をていたにもかかわらず、「これからも開催の予定はない」とのこと。 その理由として復興庁は、「これまで北海道や九州、関西などで行われた支援団体等の意見交換会には45回も出席しており、十分に被災当事者の意見も反映している」という考えに立っているからです。
これに対して参加者からは、「私たちはこうした話し合いの場を設定し、自費で何度も足を運んできた。その場で何度も公聴会を開いてもらうようお願いしたが、それを逆手にとって『もう十分聞いた』と言われては心外だ」といった批判が多数あがりました。
■自治体に働きかけつつ、実をとる必要がある
このような復興庁の態度に代表されるように、どの施策に関しても、「不安を感じている被災者のために施策をつくってやっている」という態度を感じてしまい、大変不愉快になる場面が多々あったことは否めません。(もちろん精一杯対応してくださっている担当役人の方もいらっしゃるとは思いますが…)
なぜこのような態度になってしまうかというと、やはり根本的には、この度の原子力発電所の事故責任が、「東電」やそれを推進してきた「政府」にはなく、あくまで自然災害によるものだと位置づけられているからでしょう。
明確に、事故の責任が「東電」および「政府」にあるということになれば、このような“上から目線”の施策にならないはずです。
<参加者の発言はひとり3分までと決まっている>
とはいえ、被災者の方々は「待ったなし」です。「東電」や「政府」の責任が認められるまで待っていたのでは、生活が破綻してしまいます。
一方では、東電や政府の責任を追及しつつも、今回の原発子ども・被災者支援法が実のある内容になるよう、根気強く復興庁に働きかけていく必要があります。
また、関東のホットスポットなどの地域に関しては、それぞれの自治体から復興庁に対して、「支援対象地域と同等の支援が受けられるように」という内容の要望書あがってきています。
自治体レベルでも交渉を続けながら、一日も早く「避難する人も、とどまる人も、帰還する人」も等しく必要な支援が受けられるように施策を充実させていただきたいと思います。
パブリックコメントは9月23日まで延長されています。
期間中なら何度も提出できるようなので、ぜひこのレポートをお読みになったうえで、パブリックコメントを出していただければ幸いです。
今後の予定としては、9月23日にパブリックコメントを〆切ったあと、みなさんから寄せられた意見を元に基本方針案を修正し、閣議決定する見通しだということです。
パブリックコメントの記入はこちらから
ママレボ@和田秀子
※なお、復興庁説明会@東京の内容書き起こしは、以下からダウンロードしていただけます。
0 件のコメント:
コメントを投稿