市民が選択できる体制づくりを
(廃棄物処分場問題全国ネットワーク 共同代表 藤原寿和)
今回の震災で生じたガレキに、「100%放射性物質が付着していない」ということはありえません。
たとえ、ひとつひとつのガレキの汚染度が低くても、あれだけの量を「燃やす」となれば、排ガスに含まれる有害物質の総量は増えるでしょう。放射性物質だけでなく、ダイオキシンなどについても心配です。
本来は、こうしたリスクを考慮して、原子炉などにも使用されている高性能のフィルターを、焼却炉に設置しなくてはならないと思います。そして、有害物質がもれ出していないか、常時モニタリングしていく必要があるのです。
しかし今回は、いっさいこうした手順を踏まないで、市民の了解も得ずに国や県が勝手に進めてしまった。そこに問題があります。
そもそも諸外国では、「焼却」自体を禁止している国も多いのですから、もっとさまざまな方法を検討すべきです。
たとえば、焼却ではなく炭化処理方式の採用や、防潮堤として埋めたてる。最近ではセシウムを吸着・分離する技術開発も進んでいるようですから、そういった方法も組み入れられるかもしれません。
まずは、行政が何パターンもの方法を提示し、それに専門家や市民が加わって議論する。安全性・コスト面など総合的に考えて「どれを選択するか」は、最終的に市民が決定するのです。
この震災を機に、こうした住民自治の体制づくりが急がれています。
プロフィール
藤原寿和
東京都環境局に勤務するかたわら、ダイオキシンや化学物質による公害根絶活動に取り組む。2012年65歳離職後、脱原発・被災者支援・放射能汚染測定活動に力を入れている。
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