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2014年12月28日日曜日

いまだ、あちこちに点在するホットスポットin郡山

 さる1025日、「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」のメンバーでもあり、郡山市内で塾講師を務める根本淑栄さんと、郡山市内の「平成記念郡山こどもの公園」や、市内の藤田川周辺をホットスポットファインダーで測定しました。

 また、空間線量を測定するなかで、とくに線量が高かった場所の土を、こどもみらい測定所(東京都・国分寺市)にて土壌中のセシウムを測定しましたので、そのレポートをお届けします。


除染された芝生は、0.20.3マイクロシーベルト毎時。しかし……

 「塾生が通う中学校の課外授業で、わざわざ放射線量の高い公園に行って、子どもにどんぐり拾いをさせているんです。なんでわざわざそんな被ばくさせるようなことをするんでしょうか……」

 根本さんからそんな電話を受けたのは、ことし10月中旬。
私はさっそく、ホットスポットファインダーをお借りして、根本さんとともに、その公園に、放射線量を測定しに行くことにしました。1025日(土)の秋晴れの日でした。

 課外授業が行われた公園というのは、郡山市内にある「平成記念郡山こどもの公園」。
広々とした芝生が美しく、紅葉が色づきはじめた公園には、小さな子ども連れの親子の姿が多く見られました。


 子どもたちがもっともよく遊ぶ広場の芝生周辺を、ホットスポットファインダーで測定してみたところ、0.20.3マイクロシーベルト毎時くらい。事故前の放射線量が、0.05マイクロシーベルト毎時程度であったことを考えると、けっして低くはありませんが、それでも郡山市内では、「低い」ほうに入ります。
 根本さんいわく、「芝生は除染ではがされているので、線量が低くなっている」のだとか。



移住権利ゾーンなみに汚染された公園で、学校の課外授業が

 しかし、子どもたちが学校の課外授業でどんぐり拾いをしたという場所へ行ってみると、状況はまったく異なりました。
 
 子どもたちがどんぐり拾いをした場所は、こどもの森公園の中でも端のほうに位置する「野鳥・昆虫の森」という湿地帯のようなところ。



 地面は、昨日ふった雨のせいでじめじめしており、いかにも放射性セシウムが沈着していそうな印象でした。

 まず、ホットスポットファインダーで空間線量を測定したところ、0.40.6マイクロシーベルト毎時を超える高い数値が出ました。


 もっとも空間線量が高かった場所の土を、後日、こどもみらい測定所(東京都・国分寺市)で測定していただいたところ、放射性セシウム1375,250ベクレル/キログラム。放射性セシウム1341,670ベクレル/キログラム。
 合計で6,920ベクレル/キログラムもの放射性セシウムが検出されたのです。

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 この値は、チェルノブイリ原発事故で被害を受けたウクライナの基準に照らし合わせると、「移住権利ゾーン」に匹敵することが分かりました。

 1キログラムあたり8,000ベクレルを超えると、“指定廃棄物”として、国の管理のもと処理が必要になります。このことからも、指定廃棄物まではいかないまでも、極めて高い汚染の数値であることはお分かりいただけるでしょう。
 ちなみに、原発事故前は、放射性セシウムの濃度が100ベクレル/キログラムを超える場合は、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めることが定められていたのです。

 なぜ、このような場所で、わざわざ子どもたちを、どんぐり拾いさせねばならないのでしょうか。実際に、どんぐり拾いをした子どもに話を聞いてみると、「昨年までは、こういう課外授業はなく、ことしから始まった」ということです。
 どんぐり拾い以外にも、“森の案内人”という園内にいるガイドさんのすすめに基づき、めずらしい木の葉っぱを、ちぎって匂ったりもしたとのこと。
 「子どもたちを公園で授業させることで、『もう放射能は安全』と印象づけたいのではないか」と推測する保護者もいました。


花見でにぎわう川沿いは、ホットスポットだらけ

 またこの日は、「放射線量が高い場所がある」という知り合いからの通報があり、郡山市内の藤田川を訪れました。
 藤田川沿いには桜の木が何本も植えられており、4月になると川沿いに屋台も出て、多くの花見客でにぎわうのだとか。秋の温かな一日となったこの日も、川べりで遊ぶ親子連れの姿が散見されました。

 しかし、のどかな風景とは裏腹に、この川沿いには、高濃度に汚染された場所がありました。


 藤田川沿いに置かれているベンチの下を測定してみると、1マイクロシーベルト毎時を超えるホットスポット。



 このベンチの下の土を、こどもみらい測定所に測定をお願いしたところ、なんと、放射性セシウム134137の合算で、38,840ベクレル/キログラムも検出されてしまいました。


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 指定廃棄物として厳重管理しなければならないレベルをはるかに超えていますし、ウクライナの基準にあてはめれば、「移住の義務ゾーン」に匹敵します。

  藤田川周辺にお住まいのKさんに話を聞くと、ときどきこのベンチで子どもたちが座っていると言います。Kさんは、以前からここにホットスポットがあることを知っており、郡山市に「除染をしてほしい」と通報したそうですが、「川沿いは国土交通省の管轄になっているから」と言って、除染をしてもらえなかったのだとか。

縦割り行政によって、子どもが被ばくから守られていない実態が浮き彫りになっています。
 あたり一面が、このような高レベル汚染というわけではなく、あくまでもマイクロホットスポットなのですが、県や国は、汚染の実態を把握した以上、早急に除染する義務があるのではないでしょうか。

  また、私たちは、テレビなどのニュースで伝えられている「復興」ばかりが、被災地の現状ではないことを知っておく必要があるでしょう。
 すぐに答えは出なくとも、こうしたリスクにさらされている子どもたちのために、「できること」を考え続け、行動していくことが必要とされています。
 

ママレボ@和田

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