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2014年8月1日金曜日

「被ばくを自己責任にしてはいけない」と、弁護士も批判。除染目標の数値引き上げへ。

以前、ママレボのブログでもお伝えしましたが、環境省と福島県の4市(伊達市・福島市・相馬市・郡山市)などが、除染目標の数値引き上げについて検討していた件、本日、正式に決定されてしまったようです。

環境省:除染目安の空間線量を緩和(毎日新聞)

 ◇毎時0.3〜0.6マイクロシーベルトに
http://mainichi.jp/select/news/20140731k0000e040245000c.html


本日、16時45分から、井上環境副大臣が参加し、除染目標緩和についての会議が「福島ビューホテル」で開かれたのだとか。しかも、完全クローズドだそうです。

6月に、除染数値引き上げの会議に参加した際、その様子をまとめていますので、原稿を下記にアップしておきます。これが現実になってしまいました…
いやあ、あまりにも伊達市の主張を丸呑みしている環境省に驚きました…。


・・・・・・・・・・・・・


被曝も自己責任?

「除染基準」の引き上げをめぐって、伊達市が暴走



 除染の目安となっている数値が、引き上げられようとしている。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故後、環境省は、「年間追加被曝線量1ミリシーベルト」を超える地域を特定するために、空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超える地域を「汚染状況重点調査点地域」と定めた。そのため各自治体は、空間線量をできるだけ毎時0.23マイクロシーベルト以下にするよう除染を進めてきたという経緯がある。

 しかし、ここにきて環境省は、毎時0.23マイクロシーベルトという数値の見直しを行おうとしているのだ。 

0.23μSv/hは除染基準じゃない

 数値の引き上げを強く求めているのが、福島県伊達市だ。
 環境省はこれまで何度か、伊達市・福島市・郡山市・相馬市の4市と除染についての勉強会を開いてきたが、伊達市はこの勉強会のなかで、毎時0.23マイクロシーベルトの見直しを主張し続けてきたという。
 これを受けて環境省は6月15日、福島市内で「除染に関する有識者との意見交換会」を開催。

先の4つの市長や、除染の専門家、井上環境副大臣も参加し、意見交換を行った。
 会議の冒頭で環境省の職員は、「0.23μSv/hは除染による低減目標値ではない」として、これまで0.23μSv/hを低減の目安としてきた自治体や、一般市民の考え方を否定。説明が十分ではなかった、と詫びた。そのうえで、「放射性物質汚染対処特措法」に定められている低減目標(23年8月から2年間で、一般公衆の追加被曝量50%低減、子どもの年間追加被曝量60%低減させる)は、おおむねクリアできているとして、0.23μSv/hにとらわれる必要のないことを示した。

■除染して残るのは仮置き場くらい

 この日の意見交換会でも、伊達市の発言は際立っていた。
 伊達市は、これまで市民約5万2千人の個人線量計の調査から、「空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超える地域でも、個人の積算線量は年間1ミリシーベルトを超えない場合が多い。0.5マイクロシーベルトくらいでも問題ない」として、0.23マイクロシーベルトという数字が独り歩きしていることを批判。「0.23マイクロシーベルトを下回らないと、住民から何度も除染を求められる。意味がない除染だ」と切り捨てた。

 伊達市の放射線リスクアドバイザーの多田順一郎氏も、「除染には巨額の国費が注ぎ込まれている。田中角栄氏も日本列島改造論で巨額の国費を使ったが、あのときは橋や道路が残った。安心は別として、除染で残るものは仮置き場くらいだ。福島県民は、毎時0.23マイクロシーベルト以下にならないと帰らない、などと言ってはいけない」と述べ、避難生活を続けている市民を暗に批判した。また、伊達市長の仁志田市も、「現実に即さない数値を決めるから余計に市民が不安になる」として、個人線量計に着目すべきだと迫った。

 伊達市の意見が突出する一方で、他の3市の意見は異なった。

「できるか否かではなく、事故前の放射線量に戻す努力を続けなければならない」(郡山市・品川市長)
「我々は、毎時0.23マイクロシーベルト以下を目標に除染を加速させてきたし、今後も続けるつもりだ」(福島市・品川市長)
「毎時0.23マイクロシーベルトが本意でないなら、国が明確な指針を示すべき」(相馬市・立谷市長)

 意見交換会の最後に井上環境副大臣は、「年間追加被曝線量1ミリシーベルトを変えるつもりはないが、個人の線量に即して除染方法を考える必要がある」として、事実上、伊達市の主張を追認。

 しかし、個人線量計が示す値は、実際に人が受けた実効線量の約7割しか反映されないという専門家の意見もあり、被曝の過小評価につながるおそれがある。
 原発事故被害者の訴訟を手がけている弁護士の山川氏も、計測した結果、『超えてしまっていた』ではおそい。放射線防護の立場で考えるなら、空間線量率を用いて『この数値なら絶対に1ミリを超えない』という安全サイドにたって考えるべきだ。被曝を自己責任にしてはいけない」と批判している。
 環境省は、今月中にも意見を取りまとめ、新たな除染の指針を示す見通し。このままだと、被曝も自己責任になりかねない。


6月の除染に関する意見交換会で発言する井上環境副大臣


ママレボ編集部 和田秀子

一日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果が0.4倍ある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを仮定して、一時間あたり0.23マイクロシーベルトを算出している。


Our Planet TVさんが、8月1日に開かれた除染目標数値引き上げについての記者会見の様子をアップしてくださっています。ぜひご覧ください。

除染基準緩和〜空間線量から個人被ばく線量へ

投稿者: ourplanet 投稿日時: 金, 08/01/2014 - 02:29
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1814



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