住宅問題は、避難生活の根幹。避難を続けるために重要な問題です。
復興庁・内閣府・国土交通省の担当者が参加し、あらかじめ送ってあった質問項目に対して答えました。
その回答の言葉の端々から予想される、今後の政府の動きに注視していかなくてはなりません。
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質問①原発事故によって東京都に避難してきた住民は何世帯何人か。全国では何人何世帯か。
【復興庁】復興庁では完璧なデータがとれていない。民間の賃貸住宅に入っている方が多い。災害救助法の制度の中で入っている方は把握できるが、震災後のゴタゴタの中で、避難所扱いのような形で居住地をうつして住んでいる場合は、管理者が許可しているので、政府として把握するのは難しい状況。東京都に避難している方の人数は申し訳ないが、きちんとした数字を答えられない。
民間の賃貸以外にも、知人、親類の把握は難しい、病院に住んでいることもある。正確な世帯数は把握できているわけではないということを申し添えておく。
(→この「避難者の数」に関する問題は、2014年7月30日、「原発避難:2400人把握せず…埼玉県集計 国の基準なく(毎日新聞)」8月4日、「埼玉県ずさん集計 原発避難把握、丸投げ(毎日新聞)」という報道がありました。
また、最新号の『ママレボ』8号でも、避難者数の問題について、特集記事を掲載しています。
避難住宅の問題ともかかわる大切な問題なので、ブログでも、別記事でお伝えします。)
質問②現在の避難者が置かれている状況をどう認識しているか。避難者ニーズ調査及び政府の取り組み広報はどのように行われているか。
【復興庁】平成25年10月に子ども被災者支援法の基本方針ができたあとに、「自主避難者」むけの情報提供事業も実施している。これは、「国からどういった支援施策があるのか」という情報提供、「自主避難者がどういったことを困っているのか」という相談という双方向の取り組みを伝えるもの。
平成25年度はやっていなかったが、平成26年度は、公募を行い、東京のNPO団体で情報提供を行うことが決まっている。
質問③住宅にかかわる問題で、原発事故避難者から2011年3月11日以降、どのような要望が何件出されているか。
【復興庁】要望の把握という意味で、復興庁としては、福島県と避難元市町村と共同で、住民意向調査(※)を行っている。住居形態、どこに避難したい、どこに移動したい、避難指示解除されたあとの居住地の希望などを把握している。
(※ 平成26年4月に発表された「福島県避難者意向調査」。意向調査(福島県HPで公開))
質問④福島県とは安定的な居住の確保に関してどのように情報交換や協議をしているか。
【復興庁】 帰還困難区域(長期避難の方)にはコミュニティを維持しながら、安心して避難生活をしていただく必要があると考えている。そのため、復興庁・福島県・受入市町村・避難元市町村で協議会を設置して、受入市町村ごとで個別部会を作り、復興公営住宅を中心とした、生活拠点・形成のための基礎作りを考えながら、その先は交付金を利用してすすめる。
長期避難者、生活拠点において、地域の絆の維持、発展にむけてコミュニティ研究会を開催。国・県・受入自治体・避難元自治体・有識者を交えて、住民自らの住まいや暮らしへの参画、地域住民の交流といったコミュニティの維持や形成の事例を整理して、関係者と 共有を図っているところ。
質問⑤災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与期間についての質問。
1)最終的な判断の責任者は誰か。
2)住民の声や被災自治体の意見はどのように反映されるのか。
3)ひとり当たりの住民の住居空間の広さはどのようになっているのか。
(いわき市から武蔵野市に避難した方の事例では、
狭すぎて、高齢の女性が単身で避難元へ帰らざる
を得ない状況になった。 災害公営住宅申し込みに
もはずれて、今後どうしていいのか分からない。)
【内閣府防災担当】災害救助法は原則2年。東日本大震災は1年を超えないで延長が可能。福島県は28年3月までということで延長しているが、その後の延長については被災自治体の復興公営住宅の整備をふまえて引き続き検討。
⑤‐1)最終責任者
延長については、災害救助法の救助の期間を延長しているという考え方。内閣総理大臣が定める基準としてあらかじめ都道府県の知事が決める。
都道府県知事が総理大臣に相談して決める、ということになっている。
⑤‐2)住民の声はどのように反映されるのか
各都道府県知事がどのように判断を行っているのかは、承知できないが、応急仮設住宅の提供、延長については、住民の意向をふまえて方針を定めている。協議を行っている。
⑤‐3)ひとり当たりの住民の居住空間の広さについて
個別の事例についてはコメントできないが、住居の広さは29.7平米が標準で、(2DK)3タイプが標準仕様になっている。
個別の事例についてはコメントできないが、住居の広さは29.7平米が標準で、(2DK)3タイプが標準仕様になっている。
世帯を分離して、複数の応急仮設住宅を提供しているケースも確かにある。
質問⑥ 子ども被災者支援法
1)基本方針の中に「(8)住宅の確保の主な具体的取組の中に、(2015年)4月以降については、代替的な住宅の確保等の状況を踏まえて適切に対応」とあるが、これをどう実施するのか。
2)現在の避難先がどこであれ、原発事故という人災による避難者が長期にわたって安心して住み続けることのできる無償の住宅を確保することを基本方針の中に書き込む見直しをしていただきたいがどうか?
【復興庁】
⑥‐1)27年4月以降さらに延長して、平成28年3月までになった。
⑥‐1)27年4月以降さらに延長して、平成28年3月までになった。
⑥‐2)基本方針については25年に閣議決定した。ずっとこのままではないが、見直しについては未定。本日のような場、避難者のご意見を聞きながら、基本方針の見直しもしなくてはならないのではと思っている。ただし、見直しをするかしないか・どういうものになるのかは不明。
質問⑦ 新たな立法措置の可能性
政府に責任がある、ということを明記した住宅支援の包括的な長期の無償提供を行う、という枠組みがないので、新しい法律を作っていただきたい。そういう必要性があると考えているが、それはどうか。
【内閣府防災担当】避難指示区域にお住まいだった方に対しては、長期避難をされる方のために、復興公営住宅を協議しながら整備しているところ。住民意向調査をもとにしながら、昨年12月に4890戸の公営住宅を、という方針。3700(残り1100戸)は地権者との合意をとって、すすめていく。
また、家賃を低くする制度を国交省のほうですすめている(※)。あるいは、家賃については賠償で対応もされている。
また、家賃を低くする制度を国交省のほうですすめている(※)。あるいは、家賃については賠償で対応もされている。
(※)母子避難については入居要件を、所得の2分の1にする、というもの。
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ちなみに、質問⑦については、2014年7月17日、日弁連からも、「原発事故避難者への仮設住宅等の供与に関する新たな立法措置等を求める意見書」が出ています。
応急仮設住宅の供与期間は平成28年3月まで延長が決定されましたが、根本的な問題が解決されたわけではありません。
また、このときの集会で感じたのは、「長期避難の方(=帰還困難区域)」に対する答えははっきりしているものの、区域外避難(自主避難区域)に関わる内容はごにょごにょとお茶を濁すような答えしか得られない、ということでした。
「住宅支援が打ち切られたら、帰還するしかない」と、二重生活に苦しむ母子避難の方が話してくださったことがあるように、「今後、応急仮設住宅はどうなるのか?」ということは、自主避難の方たちの、最大の関心事でもあるはずです。
なぜ、ここまで切実な問題が捨て置かれているのか――。
この集会でお話してくださった避難当事者の方の言葉は、ぜひ、多くの方に読んでいただきたいと思います。
↓
ママレボ通信:「避難者住宅支援問題①」
ママレボ通信:「避難者住宅支援問題②」
「避難者住宅支援問題④」では、開示請求をかけた「応急仮設住宅供与期間に関わる協議録」が、ほぼ黒塗りで届いた件と、その後の対応についてお知らせします。
ママレボ@伊藤千亜
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