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2012年12月18日火曜日

選挙を終えて~本当に美しい国になるために~

◇民意はどこに?

選挙が終わりました。
都民にとっては、都知事選と衆院選のダブル選挙。

残念ながら、衆院選の投票率は、戦後最低の59.32%となり、原発再稼働・増税・TPP推進・憲法改正を掲げる自民党の圧勝となってしまいました。

都知事選に関しては、62.60%の投票率で前回を上回ったそうですが、結果は石原都政を受け継ぐ猪瀬氏が、これまでで最多得票記録となる433万8936票を獲得。
ママたちが、各地で “勝手連” をつくって応援していた元・日弁連会長の宇都宮健児氏は、残念ながら2位で猪瀬氏に及びませんでした。

なぜ、こんな不本意な結果になったのか――。

事前の選挙予測を見て、ある程度予想はしていたものの、いざ結果を目の当たりにすると、「ガッカリ」を通り越して「恐怖」すら感じたのです。

「みんな、いのちを大事に思わないのだろうか? あんなに悲惨な原発事故が起こり、いまだ収束せず、16万人もの人が福島を離れて生活をしている。苦しんでいる。明日は我が身になる可能性もあるのに。なぜ……?」
と、愕然としたからです。

しかし、選挙結果を分析してみると、自民党に投票した人の多くが、自民党を心から支持しているわけではなさそうだ、ということが分かりました。
読売新聞の記事によると、自民党の比例得票率は、民主党にボロ負けした前回の選挙をわずかに上回った程度。(以下、記事参照)


自民の比例得票率、大敗した前回選とほぼ同じ(2012年12月17日13時30分  読売新聞)
比例選(定数180)では、自民党の得票率が27・62%で、大敗した前回2009年衆院選の26・73%とほぼ同じだった。
 民主党は16%で、大勝した09年の42・41%から大幅に減らした。
 自民、民主両党の得票率の合計は43・62%。03年衆院選以降は、両党の得票率の合計は7割程度で推移してきたが、今回は大幅に下がった。
 日本維新の会は40議席を獲得し、民主党の30議席を上回り比例選で第2党になった。得票率は20・38%で、全11ブロックで議席を獲得。特に、地盤とする近畿ブロック(定数29)では10議席を得て、自民党など他党を抑えて第1党となった。
 みんなの党は8・72%で、09年の4・27%から伸ばした。日本未来の党の得票率は5・69%だった。

また、東京新聞の調査によれば、原発再稼働や消費税増税、憲法改正にかんしても、選挙結果と民意とのズレが生じているようです。


脱原発 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ(東京新聞2012年12月17日 朝刊

衆院選では、原発政策とともに大きな争点だった消費税増税や憲法九条でも民意と選挙結果に隔たりのある結果となった。本紙が公示直前に行った世論調査と、東京都の二十五選挙区に立候補した百三十四人を対象に行ったアンケートを比較するとその差は歴然としている。
 原発では、世論の約六割が原発ゼロを訴えていたが、東京の二十五選挙区でも自民党候補が続々と勝利。当選した自民党の中にはアンケートで「原発ゼロ」と答えた候補もいたが、二十五人の中で脱原発を求める当選者は28%にとどまった。
 消費税増税について世論調査では反対が55・6%で、半数を超えていた。
 消費税増税は民主党と自民、公明両党の三党の枠組みで決めた。マニフェストで約束していなかったのに増税を決めた民主党は、世論の批判をまともに受けて惨敗。しかし、その代わり自民党が小選挙区で躍進し、公明党も議席を獲得したため、結局、増税勢力が多数を占めた。
 憲法九条は、世論調査では改憲反対と賛成が拮抗(きっこう)していたが、選挙結果では改憲し「国防軍」を明記すると主張した自民党が勝利。維新も含めた「改憲勢力」で三分の二を占めた全国的な傾向と同様の結果となった。


東京新聞 2012年12月17日 朝刊 より


 多くの国民が、原発再稼働や増税、憲法改正などの公約を、何のためらいもなく支持したわけではなく、「民主党には失望したし、新しい党はよく分からないし……」という理由で、消去法で自民党に投票したのならば、まだ望みがあります。

 私たち有権者の努力次第で、「いのち」を第一に考えてくれる政党や候補者を、政治の場に送り込むチャンスが、まだ残されていると思うのです。


◇ママたちが本気になった

 今回の選挙のなかで、唯一希望の灯りが見えたとするならば、それは私自身もふくめ、今まで選挙などとは無縁だったママや女性たちの意識が変わりはじめたことではないでしょうか。

 ほとんど報道されていませんが、今回の都知事選では、“脱原発”を掲げる元・日弁連会長、宇都宮健児さんを応援するママたちの「勝手連」が、あちこちで立ち上がりました。

 ママたちが毎日チラシをポスティングしてまわったり、マイクを持って街頭に立ち、慣れないスピーチをして宇都宮さんの支持を訴えたりもしました。

 誰に頼まれたわけじゃありません。
ただ、「子どものいのちと、未来を守りたい。東京から日本を変えたい」という一心で、最後の最後まで宇都宮さんを応援し続けていました。
 
 おそらく、参加していたママたちのほとんどが、こんなにも必死になり、真剣に向き合った選挙はこれまでなかったのではないでしょうか。

 選挙結果が出た16日の夜、私のFaceBookには、友だちのママたちのこんなコメントが並んでいました。


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「気付いてしまったお母さんたちは、もう元には戻れません!どんな結果が出てももう私たちの思いは変わらない。
日本はそんなもんじゃないよね。変えられるはず。
これだけの強い仲間がいる。どんなに時間がかかっても、知恵と思いを結集して、必ず動かしてみせるぞ」





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「今回の選挙戦結果に落ち込んでいるだけでなく次の一歩へのヒントが隠れているはず」





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3.11の頃は死後になっていた「市民」という言葉が復活しています。あの時点と比べて、政治に意識を寄せる「市民」が減ってはいない、やっぱり増えているんじゃないかと思います。・・・・・・
 ここからの政治の進む道には、ほんとに恐怖感すらあります。・・・・ けれど、それでも子どもたちは今夜も安心した顔で寝息をたてているわけで、この子たちを守るために、あらためて腰をすえて、市民の仲間を増やしていきたいと、次の選挙にむけても、確実にできることからやっていきたいと思います。何しろ、参議院議員には、今、失っては困る議員がたくさんいますから。・・・・・・休んでもやめない、あきらめない、福島を忘れない、というつもりでやっていきたいです。


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 こうしたコメントを読んでいると、まだまだ私たちはマイノリティだけど、でも確実に、意識は変わってきていると感じます。
 政治は生活の延長線上にあるものだということに気づき、自分が持つ一票の重みを痛感したのです。

 本当に「美しい国」があるとするならば、こうした市民社会が成熟した延長線上であることは間違いないでしょう。

 すぐには変わらなくても、声を上げ続けること。
 「誰かがやってくれる」ではなく、「自分がやる」という気持ちをもつこと。
 「政治家に任せておわり」ではなく、関心を持ち、関わり続けていくこと。

 “ママレボ~mom's revolution~”は、今はじまったばかり――。
 
 疲れたら少し休み、エネルギーを養ってまた歩みだしましょう。

 私たち一人ひとりは大河の一滴かもしれませんが、しずくの一滴一滴が澄みわたれば、大河全体が美しくなるのですから。

                                      ママレボ編集チーム 和田秀子




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