「Cエリアも除染して復興を加速」という公約を掲げて、今年1月に再選した福島県伊達市の仁志田昇司市長。
仁志田市長が、今年1月の選挙で配布したチラシ |
しかし、再選から8か月たった現在でも、まだCエリアの除染は進んでいません。
Cエリアとは、年間被ばく線量が5ミリシーベルトを下回る地域で、伊達市の約70パーセントにあたります。
伊達市はこれまで、市内を3つのエリアに分け除染を進めてきました。
年間20ミリシーベルトを超える線量の高い地域をAエリア、それに隣接する地域をBエリア、そして年間5ミリシーベルト以下の地域をCエリアとして、被ばく線量の高い地域から順に除染を行ってきたのです。
年間20ミリシーベルトを超える線量の高い地域をAエリア、それに隣接する地域をBエリア、そして年間5ミリシーベルト以下の地域をCエリアとして、被ばく線量の高い地域から順に除染を行ってきたのです。
しかし、Cエリアについては、地表で3マイクロシーベルト毎時を超える場所をスポット的にしか除染をせず、屋根などは、たとえ3マイクロシーベルト毎時を超えていても、除染の対象外となっていました。
選挙前から、Cエリアの住民たちのなかには、こうした対応に不満を持っている人がいて、「私たちの地域も全面除染をしてほしい」と要望が上がっていたのです。
仁志田市長は、こうしたCエリアの住民の票も取り込むために、上記のような公約を掲げました。
朝日新聞デジタル版にも、下記の記事が掲載されています。
この記事には、
「伊達市の仁志田昇司市長は8日の記者会見で、放射線量が比較的低い地域の除染について、局所的に高い場所だけを対象としてきた従来の方針を撤回し、希望する全戸を除染する考えを示した。山林除染も4月以降に実施する。「市民の不安払拭(ふっしょく)」が狙い。26日投開票の市長選を意識した。」
と記されています。
しかし、伊達市はまるで、江戸時代の悪代官のような手口で市民を欺きました。
全面除染どころか、選挙前とまったく方針を変えなかったのです。
今現在でも、地表で3マイクロシーベルト毎時以上のマイクロホットスポットのみしか除染していません。
そして、アンケート調査の結果、除染の希望があったお宅に電話や訪問をし、放射線量を測定した結果、地表で3マイクロシーベルト毎時を下回っている場合は「これくらいの線量だったら除染しなくてもだいじょうぶですよ」と、住民を説得してまわっているのだそうです。
以下は、伊達市が配布している資料です。
(クリックすると拡大します)
全面除染・部分除染・側溝除染・農地山林除染の希望が合計220件あるにもかかわらず、実際に除染が行われたのは、今年7月末時点でたったの5件と記されています。しかも、全面除染ではありません。
これについては、伊達市で被ばくのリスクを訴えている数少ない議員のひとりである高橋一由市が、9月の伊達市議会で伊達市職員の半澤隆宏氏に以下のような趣旨の質問をしています。
つまり、市側の方法に疑問を投げかけているのです。
議会の動画もありますので、ご覧ください。(5分17秒あたりから)
この日の答弁によると、除染の要望があって職員が訪問した1,182件のうち、職員が訪問して説明をした結果、住民が「除染しなくてもよい」と納得した件数が740件にものぼっているとのこと。
これでは、なんのためにアンケート調査を実施したのかわかりません。
Cエリアに住む主婦Aさんの話によると、「2月にアンケート用紙を提出したのに、市から委託された業者から電話連絡があったのは、つい数日前(9月中旬)」とのことだと言います。
Aさんはアンケートに「庭の芝生が0.5マイクロシーベルト毎時ほどあるので除染してほしい」と書いておいたそうですが、業者は電話口で、「除染できるかどうかは、数値による。測定してみないとわからない」と答えたそうです。
Aさんは、「Bエリアでは、0.5マイクロシーベルト毎時でも全面除染しているのに、なぜCエリアはしてもらえないのか?結局、測定しても『3マイクロシーベルト毎時ではないからだいじょうぶ』と言われるだけでしょう」と、怒りと不安を口にしていました。
フォローアップ除染の基準が、本来の0.23マイクロシーベルト毎時ではなく、3マイクロシーベルト毎時という高い数値を設定していることにも驚かされますが、Cエリアの全面除染を公約に掲げていたにもかかわらず、測定して「だいじょうぶだから除染をする必要はない」と説得してまわっているだけなら、それこそ税金のムダ使いでしょう。
このような伊達市の対応に対して業を煮やしたCエリアの住民の方々が、9月19日に伊達市の職員や市政アドバイザーの多田順一郎氏と話し合いを持ちました。
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