伊達市は9月19日、Cエリアの除染をめぐり、住民たちと話し合いの場を持ちました。
この日参加したのは、Cエリアの住民8名と、伊達市の職員らが4名。
■全面除染、するのか、しないのか?
話し合いの冒頭で市民のひとりが、「仁志田市長は選挙公約でCエリアも除染をすると言ったのに進んでいない。今後、どういう流れで進めていくのか?」と質問しました。
これが今回の話し合いの本題です。
すると、放射線対策課の半澤氏は、「24年度から現在の基準(地表で3マイクロシーベルト毎時以上)を設定し、25年度にはひととおり除染を行っている。ガラスバッチのモニタリングによって、年間1ミリシーベルトもおおむねクリアしている。ただ、今年1月の市長選のときに、仁志田市長が『まだ市民が不安に思っているなら聞いてみる必要があるだろう』と、アンケート調査を実施することになった。基準にこだわらず、心配を聞いて、それに対応しようと。それで今、フォローアップをしている」 と答えました。
こうした返答に対して、参加した市民からは、以下のような声があがりました。
参加者Aさん
「フォローアップというのは、どういう意味を持っているのか?心のケアのことか? ほとんどの住民はきちんと理解していないのではないか。仁志田市長が、市長選で『Cエリアの全面除染』を打ち出したので、やってくれるものだと思って投票した人も多いはず。ちがうのであれば、フォローアップの定義をきちんと説明をすべきだ」
参加者Bさん
「フォローアップというのは、どういう意味を持っているのか?心のケアのことか? ほとんどの住民はきちんと理解していないのではないか。仁志田市長が、市長選で『Cエリアの全面除染』を打ち出したので、やってくれるものだと思って投票した人も多いはず。ちがうのであれば、フォローアップの定義をきちんと説明をすべきだ」
「地上で3マイクロシーベルト毎時以下なら安心ということではない。そこに放射線源があるということが心配だ。子どもはどこでも遊んでしまう。吸い込みによる被ばくもある」
参加者Cさん
「子どものことを考えた場合、今の空間線量でほんとうにだいじょうぶだと言い切れるのか?財政的な問題もあるが、まず子孫を守るという観点から政策を進めたほうがいい。過剰な除染だとしても、子孫を守ることにつながるならやるべきだ。それが私たちの使命ではないか」
こうした市民からの声に対して、伊達市職員の半澤氏は、
「除染は早くしないと意味がないので、伊達市ではいち早くとりくんできた。Cエリアは、年間1ミリシーベルトもおおむねクリアしている。しかし、どこまでやっても心配はつきない。自然界にも放射線はある。食べものの中にもカリウム40をはじめとする放射性物質はある。だからセシウムだけにこだわらないで。福島県以外の地域だって、事故前にもっと空間線量が高かった地域もある。あまり過剰に心配しないほうが、お気持ち的にもよいのではないか。放射線以外にもリスクはあるのだから」といった趣旨のことを述べました。
しかし、そんな文部科学省の副読本に書かれているような説明で、市民が納得するはずはありません。
■A・Bエリアでは、0.5マイクロシーベルト毎時でも除染している
Cエリアに住むある主婦から、さらに質問が飛びました。
「Bエリアの上保原では、0.5マイクロシーベルト毎時でも全面除染をしているのに、私の自宅の庭は0.5マイクロシーベルト毎時あっても除染してもらえない。なぜしてもらえないのか?同じ税金ではないのか?いつまで待たせるのか?」
また、ほかの住民からも、「ほかの自治体では、0.23マイクロシーベルト毎時以上で除染をしている。なぜ伊達市はやらないのか。優先順位があるだけで、AエリアもBもCもすべてやると思っていた」という憤りの声もあがりました。
これに対して放射線対策課の半澤氏は、「どこかで線引きをしなくてはならない。判断は、各市町村がする」と返答。
すると市民のなかからは、「判断するのは市民だ!」という反論のほか、「伊達市は科学的判断に基づいて除染をしているというが、これまで我々が経験したことのない事態なのに、どうして正確な判断だと言えるのか?」といった意見が出ました。
■いまだに“100ミリ神話”や“ホルミシス効果”を主張する伊達市
すると今度は、放射能相談センターの二木健氏が、「100ミリシーベルトの被ばくで0.5パーセントがんの罹患率が上がる。ほんとうは、200とか300ミリシーベルト被ばくしないとはっきりした数字は出てこない。100ミリシーベルトで0.5%、それ以下は0ミリシーベルトまでまったくはっきりしたことはわかっていない。また、『ホルミシス効果』といって、ある程度の放射線は体に良いという実験結果も報告されている。逆に、低線量の被ばくは体に悪いという証拠はなかなか出てこない」と述べ、伊達市はそのうえで、放射線のリスクを厳しめにとらえて対策を立てているのだとして、理解を求めました。
(ママレボ編集部注;低線量の被ばくでもリスクが上がるという論文は、すでにたくさん出されています。ママレボにも、岡山大学の津田教授のレポートとともに記しています。http://momsrevo.blogspot.jp/2014/01/3.html)
また、伊達市の市政アドバイザーである多田順一郎氏は、自身が子どもだった1950年~1960年代の核実験の話を持ち出し、「あのころは、さかんに大気外核実験をやっていた。そのときに日本に降りつもった量は、1957年から1969年までの合計値でストロンチウム90は1平方メートルあたり2700ベクレル。セシウム137はその3倍以上。当時はビニールハウスなどなかったので、野菜は全部路地ものだった。私たちはセシウムやストロンチウムが積もった野菜を食べて育ったが元気だ。私らが子どものころの粉ミルクは、セシウム137が1キログラムあたり30ベクレルから300ベクレル入っていたことがわかっている。実際にセシウムが入ったミルクを赤ちゃんに飲ませてホールボディカウンターで測り、セシウム137が体内に蓄積されていく実験もされている。その世代の人たちも、実際に測定された赤ちゃんも、現在健康に存命している」として、暗に現在の汚染はたいしたことがないのだと述べました。
■仁志田市長は、ウソをついているんですか?
しかし、参加者のひとりで、Cエリアに住むある主婦は、これにキッパリ反論しました。
「私はただの主婦です。専門的なことはわかりません。昔のことも、チェルノブイリのことも関係ないのです。ここは日本です、福島です、伊達市です。だから、伊達市民の意見を取り入れてほしいのです。はじめ、仁志田市長はCエリアも全面除染をすると言っていました。でも、日数が経過するにつれて発言が変わってきて、結局やらなかった。そしたら選挙前になって、あわててCエリアも全面除染するというようなチラシを作って配りだした。それを見て、住民はCエリアも全面除染してくれるのだと思って仁志田市長に投票した人がいっぱいいます。それが9月になっても、いまだに進んでいない。結局、仁志田市長はウソをついてるんですか?」
こうした疑問に対して伊達市側は、はっきり回答をすることはなく、「Cエリアのスポット除染はしている。年間1ミリシーベルトの基準はクリアしているので、今後はアンケート結果に基づいて対応していきたい」と、述べるにとどまりました。
結局、この日の話し合いは平行線。今後も、話し合いの場を設けるということで解散となりましたが、果たしてCエリアの除染は進むのでしょうか――。(このままでは、とても進むとは思えません)
■0.23マイクロシーベルト毎時の原点に戻れ
話し合いを終えたあと、参加者のひとりは、「このまま仁志田市長が公約を守らないなら、なにかほかの手段を考えないといけない」と話していました。
最後に、この話し合いを傍聴して感じたことを述べておきます。
まず、仁志田市長が公約を守って全面除染すべきであることは言うまでもありません。だって、市民との「約束」なんですから。
そのうえで、環境省が当初定めていた.023マクロシーベルト毎時という除染基準に立ち戻るべきだと思います。
伊達市はこれまで、環境省が当初に示した0.23マイクロシーベルト毎時という除染基準を上げるよう国に働きかけをしてきただけでなく、Cエリアに関しては、伊達市独自の「地上で3マイクロシーベルト毎時」という高い除染基準まで設けています。 ほかの自治体は、0.23マイクロシーベルト毎時を除染基準の目安としているのに、なぜ自治体ごとにその基準が異なるのでしょうか。こうした点も、住民たちが混乱する大きな要因になっています。
そのうえで、環境省が当初定めていた.023マクロシーベルト毎時という除染基準に立ち戻るべきだと思います。
伊達市はこれまで、環境省が当初に示した0.23マイクロシーベルト毎時という除染基準を上げるよう国に働きかけをしてきただけでなく、Cエリアに関しては、伊達市独自の「地上で3マイクロシーベルト毎時」という高い除染基準まで設けています。 ほかの自治体は、0.23マイクロシーベルト毎時を除染基準の目安としているのに、なぜ自治体ごとにその基準が異なるのでしょうか。こうした点も、住民たちが混乱する大きな要因になっています。
まずは原点に戻って、0.23マイクロシーベルト毎時以上の場所は、仁志田市長の公約どおりに全面除染をすべきではないでしょうか。(0.23マイクロシーベルト毎時がベストではないですが、最低でもということです)ぜひ考えを改めていただきたいと思います。
ママレボ@和田
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