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2015年4月25日土曜日

福島市内の河川敷で、最大、毎時21マイクロシーベルトを観測


「河川敷の放射線量が高い」という地元の方からの報告を受け、ママレボ出版局と、子どもたちの健康と未来を守るプロジェクトなどのメンバーは423日、福島市にある渡利大橋周辺の阿武隈川河川敷を測定した。(測定した機器は、ホットスポットファインダーと日立アロカ)



春の新緑が美しい「渡利水辺の楽校」


■最大で毎時21マイクロシーベルトを観測
 この河川敷は、「渡利水辺の楽校(がっこう)」と名付けられており、平成8年度に、「地域の水辺を遊びの場・自然体験の場・自然学習の場として整備し、維持管理することを目的」に作られた。2004年には、土木学会デザイン賞を受賞しているほど美しい景観だ。


測定中

 しかし残念ながら、放射線量は依然高いまま。河川敷を地上約50㎝の高さで測定しながら歩いてみると、平均して毎時1~2マイクロシーベルトほどの放射線量が観測された。
 また、いたるところに毎時35マイクロシーベルトを超えるホットスポットが点在していた。(除染の目安は毎時0.23マイクロシーベルト)

 河川敷から階段を上って道路に上がると、毎時0.30.8マイクロシーベルトにまで下がるので、やはり河川敷は特に放射線量が高くなっているのだ。

 
 この日、測定した中で最も高かったのは、河川敷に植わっている木の根元付近。日立アロカで測定すると、最大で毎時21マイクロシーベルトを記録。毎時10マイクロシーベルトまでしか測れないホットスポットファインダーは振り切れた。
 そんなことはないだろうが、かりにこの場所に2日間居たとしたら、一般人の年間追加被ばく量1ミリシーベルトを超えてしまう。首都圏でこうした数値が見つかったら、すぐに立ち入り禁止になるはずだが、福島では話題にもならない。

特に放射線が高かった木の根元

木の根元で毎時17.05マイクロシーベルト。
最大で毎時21マイクロシーベルトを記録。

ホットスポットファインダーは振り切れた。
■「除染の方法が決まっていない」として手つかずのまま

 実は渡利地区は、原発事故直後、住民から「特定避難勧奨地点に指定してほしい」と要望が上がっていたほど放射線量が高い地域だった。(結局、住民の要望は聞き入れられなかった)そのため福島市は、渡利地区の除染を比較的早く行った。しかし、河川や河川敷は管轄が国土交通省で、国土交通省側は「河川や河川敷の除染方法が決まっていない」として除染を行っていなかった。

 地元の方の話によると、昨年までこの河川敷には、「水辺の空間放射線量は、周辺の空間放射線量より高い値となっておりますので、水路周辺には近づかないようお願いします」という看板が立てられていたが、今年になって撤去されたとのこと。

すでに放射線量が下がったと思っている住民が多いのか、この日も河川敷を、時折子どもたちが自転車で通り抜けて行ったり、ランニングしたりしていた。

  前日にメンバーのひとりが、この河川敷を日立アロカで測定していたところ、散歩中の年配男性に「放射線の測定ですか?」と声をかけられた。
数値を示したところ、「そんなに高いのですね!ぜひ多くの方に知らせてください」と頼まれたという。

 
■順次、河川敷の除染もスタート
 
 しかし、なぜ看板は撤去されたのか。そもそも、いつまでこのまま放置しておくつもりなのか。河川敷を管轄している国土交通省東北地方整備局長に問い合わせてみたところ、「河川敷の除染については、昨年末やっと環境省から河川についての除染ガイドラインが発表されました」とのこと。

利用頻度の高い河川から順に除染していくことに決まったという。「渡利水辺の楽校」も除染される予定だが、いつ着手されるかは未定。

 看板を撤去した理由については、「看板が古くなってきたから」という返答。
「除染が終わるまで、新しい看板を設置して注意を呼びかけてもらえないですか?」と依頼したところ、「至急、看板を設置します。設置したら、お電話します」と約束してくれた。

 総じて河川敷は、放射線量が高くなりやすい。以前、ママレボ通信で紹介した郡山市の藤田川周辺についても、除染されるのかどうか、追って確認する予定だ。

 また、福島県内だけでなく、近隣県においても数値が高くなっている可能性があるため、調査する必要があるだろう。

※この日、撮影した動画は後日、フクシマン・マサさんがアップしてくれます。


(ママレボ出版局 和田秀子)

※2015年4月28日追記※
国土交通省東北地方整備局長から連絡があり、渡利河川敷の除染は早くて6月、遅くても7月から着手されるとのこと。もう間もなく始まるため、注意喚起の看板は立てられないことになりました。しかし、ゴールデンウィークなどにお子さんが近づく可能性もあるので、お近くにお住まいの方は十分お気をつけください。
また、福島県内の他の河川についても、①利用頻度が高く、②周辺の住宅除染が終わっていて、③かつ他より放射線量が高い河川については、順次、除染を行うそうです。「ここの河川を除染してほしい」という要望があれば、ぜひ市町村から国土交通省に情報を寄せてほしいとのことでした。「近くの河川の放射線量が高い」という方は、お住まいの自治体か、もしくは直接、
国土交通省東北地方整備局長(024ー546ー4331)に伝えておくとよいかもしれません。国土交通省からも、改めて福島県内の自治体に呼びかけてみるとのことです。

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<資料:除染関係ガイドライン「河川・湖沼等における除染等の措置」抜粋>


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