2015年4月1日、郡山市薫小学校の通学路を測定しました。
同行したAさん(6歳と4歳のお子さんがいるお母さん)は、一時期、福島県外に自主避難をしていました。6歳のお子さんが4月から小学校に入学するため、放射線量の高いところを確認しておきたい、ということでした。
薫小学校の周辺は、原発事故当時も、放射線量が高いと言われていた地域。学校や公民館、公園などの除染は終わっていましたが、その後、どうなっているのか――ホットスポットファインダーで、細かく測定しました。
校門には除染前の数値として「4.5μSv/h」と書かれています。
郡山市薫小学校の校門 |
おそらく、測定したのは2011年だとは思いますが、例えば、2011年7月、南相馬市の特定避難勧奨地点に指定された基準値は、3.0μSv/h以上/子ども・妊婦の基準では、2.0μSv/h以上で勧奨地点に指定されているのです。
今さらながら、こういった大きな矛盾を突き付けられます。
Aさんは測定中、ずっとビデオカメラを回していました。測定に立ち会えないお子さんに、どこが高いのかを細かく教えたい、との思いです。私たちは、Aさんの住まいから学校に向けて歩き出しました。
今回、測定するにあたり、センサーの高さは地表50cmあたりをキープすることにしました。お子さんの腰のあたりです。
家の前の歩道から、0.5~0.7μSv/hを記録します。
自宅の目の前で、0.5~0.7μSv/h(地表50cm) |
今まで、郡山市は通学路も含めて何度も測定に伺っているのですが、2015年になって地表50cmで歩道が0.5~0.7μSv/hもある場所というのはあまりありません。
アスファルト上であれば、0.2~0.4μSv/hまでは下がってきているのです(ただし、土の上は0.5~1μSv/hほどあるところも多く、局所的に1.5μSv/hを超えるところもあります)。
アスファルト上であれば、0.2~0.4μSv/hまでは下がってきているのです(ただし、土の上は0.5~1μSv/hほどあるところも多く、局所的に1.5μSv/hを超えるところもあります)。
この日、測定したアスファルト上で一番高かったのが、この家の前の歩道(0.5~0.7μSv/h)だったのです。
その原因は、透水性舗装。写真のような形状のアスファルトでした。
透水性舗装 |
透水性舗装の上は、除染をしても線量が落ちません。
以前にもお伝えしたことがあるのですが、(郡山レポート・4)郡山市明健中学校の前にある遊歩道も、0.5~0.7μSv/hあり、その測定結果を持って、郡山市在住のNさんが郡山市長に訴えたことがありました。
訴えた結果、近くの沼(宝沢沼)の遊歩道と一緒に、緊急除染がなされました。
しかし、その後、半年後にその遊歩道の測定をしたところ、放射線量は下がっていなかったのです。
訴えた結果、近くの沼(宝沢沼)の遊歩道と一緒に、緊急除染がなされました。
しかし、その後、半年後にその遊歩道の測定をしたところ、放射線量は下がっていなかったのです。
同行したAさんは、
「この歩道のところだけでも、おんぶしたい」
とつぶやいたあと、
「アスファルトをはがして、舗装しなおしてもらいたい。そのことを、市にお願いしたい」
と話していました。
「この歩道のところだけでも、おんぶしたい」
とつぶやいたあと、
「アスファルトをはがして、舗装しなおしてもらいたい。そのことを、市にお願いしたい」
と話していました。
また、その歩道に関しては、側溝の上を歩くほうが、被ばく量が少ないこともわかりました。透水性舗装の上を歩くより、側溝の上を歩くほうが0.3μSv/hほど低かったのです。
「ふつうは、側溝の上のほうが高い、と思いますよね・・・測ってみないと本当に分からないですね」
と、Aさん。
この道は、側溝の上のほうが放射線量が低い |
学校周辺を測定したあと、近くの公園を二つ測定しました。
一つ目は学校のすぐ近くの公園。いちおう、除染が済んでいる公園です。歩き回りながら、高そうなポイントも測定しました。すべり台の下、ブランコの下、植え込みの中――測定結果は、0.1~0.2μSv/hでした。
「この公園だったら『遊んでもいいよ』と言えるかな」
とAさん。
「この公園だったら『遊んでもいいよ』と言えるかな」
とAさん。
薫小学校周辺測定結果/写真左下が公園 |
「震災後に、郡山市の公園で遊ばせたことはありません。室内遊び場につれて行くか、週末に県外に連れ出して遊ばせていたから・・・でも、小学生になったら、行動範囲も広がってそういうわけにもいかないだろうと思っていたから、『この公園ならいいよ』と言える場所ができてよかった・・・」
次に、自宅から一番近い公園を測定しました。Aさんは、自宅からたった数10メートルの公園に、震災後は一度も連れて来なかった、と言います。
実はこの日、測定には下の4歳のお子さんが一緒でした。元気いっぱい、動きたい盛りの男の子。
「この公園、生後3週間くらいの時に来たっきりだね。覚えてる?(笑)」
とお子さんに話しかけるAさんの声が届くか届かないかで、遊具に向かって思いっきりかけ出しました。
この公園は、除染されていたのですが、広場の真ん中だけが土の入れ替えがされただけで、公園の周囲の植え込みは1μSv/hを超えるところが数か所ありました。木の根本の苔の上では1.5μSv/hを超え、落ち葉の集まるところは0.8μSv/hありました。
木の根本の苔の上 |
地表10cmほどで測定。落ち葉がたまっているところ。 |
また、土の入れ替えがされていないところは、0.4~0.8μSv/hのところも。
「この公園は、まだ、行っていいよ、と言えないな・・・」
Aさんはそう話しました。
砂場遊びの道具を、
「数回しか使っていない。未練があって捨てられない」
と話すお母さん。逆に、
「使えなかったことが悔しいから、すぐに処分した」
というお母さん。こういった思いが、一部の地域の母親に押し付けられていることは、事実です。
「数回しか使っていない。未練があって捨てられない」
と話すお母さん。逆に、
「使えなかったことが悔しいから、すぐに処分した」
というお母さん。こういった思いが、一部の地域の母親に押し付けられていることは、事実です。
公園の再除染、透水性舗装の張り替え等、子どもの生活環境について、行政には丁寧な対応をしてもらいたいと願っています。
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今日の測定結果の一部を公開します。
1枚目は、薫小学校周辺の放射線量です。公園は、0.1~0.3.
2枚目は、薫小学校から少し離れた公園。やはり、植え込みなどの周辺が高いことがわかります。
(文責・吉田千亜)
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