郡山市に住むHさん(6歳のお子さんのお母さん)から、「来年入学する通学路を測定してほしい」と連絡があり、2014年11月30日、お子さんの通学路を、ホットスポットファインダーで歩いて測定しました。自宅から学校まで、約30分、高低差のある道のりです。
アスファルトの上では0.2μSv/h~0.3μSv/hなのですが、土の部分では、2倍~数倍の数値になります。これは、除染されていない場所ではよくある結果です。
「土の部分はできるだけ歩かないように子どもに伝えます」
と、注意点をひとつひとつ確認しながら歩きました。
たとえば、この植え込み。
同じ植え込みが数メートル間隔で並んでいるのにも関わらず、ある一か所の植え込みだけが、1.5μSv/h(センサーの高さ地表10cm)を超えていました。
当然、見ただけではわかるはずもなく、子どもの手の届く場所には、あってはならない数値です。
子どもの通学路。手前の植え込みだけ、1.5μSv/hを超える |
通学路にあるホットスポット |
◆8μSv/hのホットスポット
この日、もっとも高い数値だったのは、あさか野バイパス沿いにある植え込みでした。
地表5cmで、8μSv/h近い数値を出しました。1mの高さでも、2μSv/hを超えます。
郡山市内を測定していても、これほど高いところは稀です |
あさか野バイパス沿道の、坂のくだったところ |
1mの高さでも、2μSv/hを超えた |
場所は、坂道を下った場所。水の流れに沿って、放射性物質がたまってしまったのかもしれません。
「雪かきをした雪も、そのあたりにあったように思うから、それで高いのかもしれない」
と、Hさんは話します。
オレンジ色のポール部分がホットスポット。当然ですが、みただけではわかりません。 |
◆郡山市の道路除染課に通報する
8μSv/hという数値はあまりにも高いので、郡山市の道路除染課に電話で相談をしました。
窓口の方は、
「その場所が市の管轄か、国の管轄かわからないので調べて連絡します」
とのことでした。
しかし、数日後に、メールがあり、
「国道担当と話をしましたが、現在のところ除染および、『危険です』というような看板の設置はできません」
という対応だったのです。
◆「除染できない」「看板の設置はできない」
「除染できない」「看板の設置はできない」という対応はこのときだけではありませんでした。
その10日前の2014年11月20日にも、郡山市内の逢瀬川沿いの歩道でホットスポットを見つけていました。
地表5cmの高さで3μSv/hを超えるところです。
地表5cmで、3μSv/h |
逢瀬川沿いは遊歩道になっていて、マラソンをする人、自転車で通行する人、犬の散歩をする人もいます。公園も近くにあります。測定中にも、散歩をする人が何人か通り過ぎていきました。
地表5cmで3μSv/hというのは局所的なものでしたが、芝生の上では地表20cmで0.7~1μSv/hと、高い数字が一帯に広がっていました。
河川敷の遊歩道 この一帯は地表20cmで、0.7~1μSv/hありました。 |
逢瀬川は一級河川のため、管轄は福島県。すぐに電話で「ホットスポットを除染をするか、あるいは『ここは放射線量が高い』ということを示す看板をたててほしい」と、お願いしました。
しかし、県の担当者からは、
「現在、河川の除染の実証実験を行っているところなので、除染はできません」
「危険です、という看板をたてる、という対応をしたことがないので、できません」
「もし除染をしたいのならば、ご自分でやってくださってもいいですよ」
と、言われたのです。
近くには、仮設住宅もあるところ。木製のベンチには、避難されているお年寄りが座っている風景を、よく見かける、と、一緒に測定した郡山市のNさんは言います。
そのベンチの測定値も、0.5μSv/hを超えていました。
センサーをベンチの上に置くと、0.5μSv/h |
◆Hさんの通報を受けて――
8μSv/h近い放射線量のあったあさか野バイパスの沿道。
一緒に測定をしたHさんは、あきらめずに、国土交通省にも電話をしていました。
その結果、2015年2月、このような状態になっています。
通報を受けて、対応されたホットスポット |
「本当は、ちゃんと『放射線量の高い場所です』と周知してもらいたかったんですけれど。でも、何もしないよりは良かったです」
と、Hさんは話します。
お子さんが入学する前の春休み、Hさんは測定したマップを持ち、一緒に確認をしながら、通学路を歩いたそうです。
子どもたちが毎日歩く通学路のホットスポットは、できるだけなくしてほしいものです。
すぐに除染ができないのであれば、「近づいてはいけない」ということを、きちんと周知するなど、行政の誠意ある対応が待たれます。
(文責・吉田千亜)
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